介風見聞錄

台北に暮らす「介(すけ)」のあることないこと。

【ユニー航空】台北松山⇄金門尚義 エアバスA321型機搭乗記【台湾国内線】

介風見聞録にお越しいただき、有り難うございます。介(すけ)です。

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2022年9月、中華民国(台湾)の離島、金門へ2年ぶり2度目の旅行に行ってきました。前回はマンダリン(華信)航空のエンブラエル190型機とタイガーエア台湾(台湾虎航)のエアバスA320型機に乗ったのですが、今回はエバー(長栄)航空のグループ会社、ユニー(立栄)航空のエアバスA321型機に乗ってきたのでご報告します。

↓前回搭乗したエンブラエル190型機(現在は引退済み)に関する記事はこちらからどうぞ。

kennethqi.hatenablog.com

 

【悲報・乗り得座席の事前指定が不可に】

ユニー航空はターボプロップ機のATR72-600型機(70人乗り)とジェット機のA321(184人乗り)を運航しています。今回A321を選んだ理由は他でもありません。それは、元々俗に言う「乗り得座席」があったからです。

「乗り得座席」と言うのは、元々購入したクラスよりも上の座席に合法的に座れる席のこと。ユニー航空のA321は両岸直行便や短距離国際線でも使用される機材のため、前2列計8席がビジネスクラス用の座席になっているのですが、現在国内線にはビジネスクラスの設定がないためエコノミークラスとして開放され、搭乗日前日の0:00から可能な座席指定では、2列目4席分を選ぶことができると言うマニア垂涎の乗り得座席があったのです。

ですが!運悪く今年の夏休みシーズンから運用が変わり、前方2列と非常席座席の事前の座席指定が不可となりました。今回チェックインの時に厚かましくも「もう前2列の座席指定はできないんですよね?」と聞いたところ、「今は満員の時にアサインするんです」と答えてくれました。

ぐぬぬ。今回の旅行はこれを楽しみにわざわざマンダリンよりもチケット代の高いユニーを選んだのに、悔しすぎる。。。

とはいうものの、マニア目線で見れば、A321に乗る価値がなくなったわけではありません。

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A321のエコノミークラスのシートピッチは31インチ(ビジネスクラスは45インチ)で、台湾国内線で主力のATR72−600型機の30インチよりも若干広いのと、ジェット機で速度が速いため、ATRよりも10〜15分くらい所要時間が短縮できると言うメリットがあります。

デメリットは、座席配列が3−3なので必然的に真ん中の気まずい座席に座る可能性が出てくると言うことでしょうか。

まぁ、1時間以内の国内線でガタガタ言うなと言われてしまえばそれまでなのですが。

 

【台風が台湾に接近も、安定した飛行】

この日は中秋節の3連休が終わった翌日で、てっきり空いているのかなと思っていたら、まさかのほぼ満席。ちなみにビジネスクラス座席にはドアクローズ直前に搭乗してきた男性3人が着席しているのを確認しました。

セーフティデモは天井から出てくるモニターを使ったビデオ上映。エバー航空のものと共通でした。

シートポケットには安全のしおりとエチケット袋。機内誌は搭乗半券にQRコードが印字されていて、スマホやらタブレット端末で自分でダウンロードして見てねというスタンス。味気なく感じますが、エコや軽量化への配慮なんでしょうね。


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ちょうど台風が沖縄付近を北上していて、東部と北部は時折激しい雨に見舞われていたのですが、影響はほぼ受けずに安定した飛行となりました。

水平飛行に移って間も無くおしぼりの配布があり、その後ドリンクサービス。

揺れる恐れがあったからか、ホットコーヒーはなし。黒松の無糖緑茶と舒跑という運動飲料で有名な維他露のオレンジジュース、水の3種類から選べました。

ちなみに、マンダリン航空のERJ190に乗った時は、ホットコーヒー、ホットウーロン茶、オレンジジュースが選べ、今はなきファーイースタン(遠東)航空はホットウーロン茶と水が選べた上で、おかきが渡されたのと比べると、ユニーはそれの中間といったところ。ちなみにタイガーエア台湾は紙パックのジュース1択でした。

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澎湖上空でコップの回収が終わると、機長からのアナウンスがありました。時刻表では飛行時間は65分だったものの、実際には45分で到着するとのこと。

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ちなみにマンダリン航空やファーイースタン航空ではドリンクサービスの後に機内販売の時間がありましたが、ユニーはなし。ユニーはこれまでに台北–台東線を2往復と台北→澎湖線に1度乗っていますが、いずれも機内販売がなかったので、新型コロナの流行に関わらずそこまで力を入れていないことが分かります。

北西に向かって飛行していた機体が右に旋回すると金門尚義空港はもうすぐ。すでに秋らしくなっていた台北とは違い、夏がまだまだ続いてた快晴の金門に、スムーズに降り立ちました。

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【本島に戻る前にチェックしておきたい免税店】

さて、台湾本島に戻る前にチェックしておきたいのは免税店。台湾では金門、澎湖などの離島で免税ショッピングが可能です。日本でも沖縄だと特例により、国内にも関わらず免税で買い物ができるのと同じですね。

金門東側の金湖には大型の免税店があり、こちらで購入したものは空港に届けてくれるサービスがあります。もちろん空港の出発エリア内にも免税店があります。

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今回は友人にプレゼントしようと民国100周年を記念した高粱酒を購入。在台の方にとっては便利なサービスですね。

【台北行きは案外静か】

さて台湾へ戻る便もA321を選びました。ちょうど台湾本島に戻るツアー客が多く、こちらもほぼ満席。ビジネスクラスの座席には車いすでの移動が必要な高齢のご夫婦が着席されていました。

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離陸後間もなくしておしぼりとドリンクのサービス。今回は行きのソフトドリンクに加えてホットコーヒーもありました。こちらも澎湖を過ぎたくらいでカップを回収。

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台湾本島への便は、みなさんお疲れのせいか比較的静かな機内で落ち着いた雰囲気。明日から仕事という現実に向き合わなければいけない悲壮感も漂います。(←)

何度か松山着の飛行機に乗っていますが、この日は初めて空港の東側からアプローチ。友人が勤める内湖のオフィスビルを眺めながら着陸しました。

松山空港は17時台を過ぎると到着便が増えて混雑しますが、定刻16時30分着の搭乗機はスムーズにスポットイン。あと、前回の記事でも触れましたが、ジェット機だとボーディングブリッジを使い、悪天候の際も比較的快適に搭乗、降機ができるというのは、ささやかながらも嬉しいポイントでした。

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【台湾国内線の今後の展望】

あまり知られていないのですが、台湾の国内線で路線数が多いのはチャイナエアライン系のマンダリン航空ではなく、ユニー航空で、国内線でのシェアは6割に達しています。ただ今年はこれまでユニーが独占していた金門ー高雄線にマンダリンが参入してダブルトラック化。ユニーにとって新たな国内路線の新規開設が望めない中、どのようにマンダリンとの差別化を図っていくのか気になります。

そして、お家騒動により、エバー会長を退いてスターラックス航空を立ち上げた張国煒氏は今年4月にユニー航空の会長に就任したものの、9月になり辞任。スターラックスに専念する考えを示しました。スターラックスの国内線進出の可能性も取り沙汰される中、今後台湾の航空業界はどのように変化するのか、引き続き注視する必要がありそうです。

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【嘉義・奮起湖】一度は乗りたい 文化と歴史伝える阿里山林業鉄路で日帰り旅行

介風見聞録にお越しいただき、有り難うございます。介(すけ)です。

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4月中旬のことなのですが、台湾南部の嘉義に2泊3日で遊びに行ってきました。2日目に阿里山林業鉄路に乗って、標高1403メートル地点の奮起湖まで日帰り旅行をしてきたので、その話をお伝えします。

【今は完全に観光鉄道となった阿里山森林鉄路】

阿里山一体は日本統治時代、豊富な森林資源があることから積極的に開発された歴史があります。伐採された木材を、縦貫線の駅があり、中継地点となる嘉義に運搬する林業鉄道としての役目を担ったのが、今回の主役となる1912年に開業した阿里山森林鉄路です。

北門駅近くには車両基地があり、自由に見学ができます

以前取材した際に聞いたところによると、以前は嘉義の市街地と阿里山を結ぶ道路がなく、阿里山に住む人々は通学や買い物などにもこの鉄道を利用していたんだとか。

ただ、戦後に阿里山公路と呼ばれる幹線道路が開通したり、台湾全土で樹木の伐採が禁止されたりして、本来の目的である林業鉄道としての役目は40年以上前に終えてしまっています。過去には廃止も検討されていたようですが、阿里山観光の柱となり得ることから、現在は観光鉄道として運行が続けられています。

現在は本線と神木、祝山、沼平の各支線が運行されています。嘉義と阿里山を結ぶ本線は大規模土砂災害の影響により十字路ー阿里山間で運休中(2022年7月4日現在)。平日1往復、休日最大3往復運転しています。あと、ツアー用の専用列車もあるようです。阿里山を起点とする支線は毎日数本が運転されています。

↓阿里山林業鉄路ウェブサイト

afrts.forest.gov.tw

【左右の激しい揺れでスリル満点 まるでジェットコースター】

今回僕が乗車したのは全車指定席の阿里山号。午前9時に嘉義を出発します。ほぼ毎日運行されているのはこの列車だけです。休日などにはこのほかに中興号という全車自由席の列車も運行されています。

チケットは事前にインターネットで予約。14日前から受け付けています。支払いと発券はコンビニで行いました。阿里山号の嘉義−奮起湖間の運賃は384元(約1741円)。

嘉義駅では台鉄の自動改札を通らず、右側の有人改札から構内に入ります。ただ、この時に検札はありません。出発後に車掌さんが検札してくれます。

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切り欠きホームにちょこんと待ち構える小さな列車。ナローゲージと呼ばれるレール幅が762ミリのコンパクトな鉄道なので、とても可愛らしいです。

座席は2−1で並んでいました。実際に着席してみると、前後は十分な広さがあり、窮屈さは感じませんでした。

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ただ、出発して間も無く驚いたのは、左右の揺れが想像以上に激しいということ。

事前の情報として、嘉義を出発して3駅目の竹崎までは平地を走り、その後から山を登っていくということは知っていたのですが、2駅目の北門を出た時点でぐわんぐわんと体が揺れ始めました。

乗り物酔いしやすい人は酔い止めをお忘れなく。でも、人間の体というのは面白いもので、そのうち慣れてきます。

【ゆっくりと、確かに変わっていく沿線風景】

ちなみに車内では車掌兼専門のガイドさんがずーっと案内をしてくれます。簡単な歴史や鉄道の特徴、沿線の周辺情報、見所などなど。運良くガイドさんと同じ先頭車両に乗り合わせることができれば、タブレットの交換作業などが見られ、興味深いです。

タブレット交換作業が見られる場所も少なくなりました

停車駅到着前には中国語、英語、日本語の車内放送もあります。日本人観光客にとっては嬉しい配慮ですね。

前述のように、嘉義から竹崎は平地を走ります。車窓から見える景色は市街地から次第にパイナップル畑などのどかな光景に変わり、竹崎を過ぎると、本格的に山を登っていきます。

速度は決して速くありませんが、ガイドさんの説明や駅にある標高を示す看板などを眺めていくと、着実に標高が高くなっていくのが分かります。ぐるぐると円を描きながら登っていく独立山では、すでに通過した場所が眼下に臨める場所がいくつもあり、短時間のうちに山を登ったことを実感できます。月並みな表現ですが、鉄道ってすごいんだなぁと感じられます。

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後、標高が上がるに連れて、初めは熱帯のジャングルのような雰囲気を醸し出す植物たち生い茂る車窓の光景が、竹林など、日本でも見られるような風景に変わっていくのも面白いポイントかなと思います。

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2時間30分の所要時間も飽きずに楽しめました。

【のんびりと散策が楽しめる奮起湖】

奮起湖には午前11時21分に到着。市内は汗ばむ陽気だったものの、奮起湖は羽織ものがあって快適なくらい。帰りの列車の時間は午後2時30分で約3時間ほどあり、散策を楽しみます。

奮起湖は林業が盛んだった頃の拠点として栄え、現在でも観光の拠点となっていて、阿里山の民宿を予約すると、この駅まで送迎してくれるところも多いようです。

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日帰りの場合は、駅周辺の老街と少し離れた老老街と呼ばれる集落がメインになるのですが、周回する道路が走っていて、歩くだけなら30分程度で回れます。

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で、奮起湖の名物といえば、「阿里山弁当」。まぁ台湾ではよくあるスペアリブ弁当です。かつて嘉義から片道7〜8時間かかっていた鉄道の乗客は、否が応でも食事の必要があり、その多くがこの弁当を食べていたことから、非常に歴史があるお弁当です。

弁当を販売するお店は数多くある中で今回僕が食べたのは、阿里山弁当でも特に有名だとされる奮起湖大飯店の弁当。折角来たのだからと、スペアリブと鳥もも肉がセットになったボリューム満点の弁当をオーダーしました。

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ニンニクの風味がしっかりした醤油タレで味つけられたお肉は、よくあるスペアリブ弁当のものとはちょっと違う味。あまり期待していなかったのですが、満足感がありました。

奮起湖にはこの他にももちもちのドーナツや温かくて優しい甘さの草餅、爽快感たっぷりの愛玉、すっきりとした味わいの阿里山コーヒーなど、いくつかの名物があります。後、たまたま買った茶葉を使ったどら焼きが香ばしくて想像以上に美味しかったです。お腹を空かせた状態でお越しください。

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最初は3時間の散策時間だと駆け足での散策になるかなと思ったのですが、実際には山で生きる人たちの暮らしぶりを垣間見ることができ、十分に楽しむ時間がありました。

【文化と歴史を知られる日帰り旅行】

帰りも2時間半かけて下山します。この列車にも車掌兼ガイドさんが乗車していますが案内は行きに比べて若干控えめ。阿里山観光の余韻に浸りつつ、少しずつ見慣れた現実世界に戻っていく、一抹の寂しさを感じながら山を降ります。

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嘉義到着は午後5時ごろ。台北に戻ることも可能ですし、嘉義市内で散策しながら夕食ということもでき、ちょうどいい時間で日帰りできるのは魅力的です。

ただ、実はこの阿里山鉄道、2017年の報道では、年間3億台湾元(約14億円)の赤字を出し続けているんだそう。もちろん、嘉義や阿里山にとって重要な観光の目玉であるということ、政府機関である林務局が関わっていることから、すぐさま廃止ということはなさそうですが、今後どうなるかは分かりません。

自動車では1時間ちょっとで登れてしまう奮起湖まで、わざわざ2時間半かけて登るというのは、正直非効率。一度は乗車する価値があると強く思いますが、乗車はお早めにと思います。

嘉義の発展を支えた阿里山鉄道の旅、歴史や文化を知られるアトラクションだと思うので、ぜひ嘉義旅行の際には組み込んでくださいね。

 

↓以前の旅行記はこちらからどうぞ

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【アテモヤ】台湾生活17年目にして初めて食べたら、超絶感動した件

介風見聞録にお越しいただき、有り難うございます。介です。

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今年、台湾に興味のある日本の皆さんの間で話題になっている台湾フルーツといえば、そう、アテモヤ(鳳梨釋迦)です。

緑色で、ゴツゴツとしていながらも、バンレイシ(釈迦頭、釋迦)とは違って滑らかな外観に、白い果肉。そして、結構な存在感を醸し出す黒い大粒の種。インパクトの強さに、一度見たら忘れられないこと請け合いです。

ですが、実はワタクシ、台湾生活17年目になるのですが、今まで食べたことがありませんでした。

というか、アテモヤに限らず、もともと僕自身にあまり果物を食べる習慣がなかったんです。借家にキッチンがなく、包丁すらなく(昨年のコロナ禍でついに購入しましたが)、生ゴミを捨てるのがいちいち面倒なので、八百屋さんに行くことは今まで全くありませんでした。

しかしながら、これだけ話題になっている果物。しかも日本では冷凍しか食べられないというのであれば、やっぱり本場の台湾で生を食べたくなりますよね。あまつさえ台湾に暮らして、台湾の魅力を多くの人に伝えている立場なのにも関わらず、アテモヤを食べたことがないというのは、いささか面目が立たないという感情も芽生えてしまいました。

そこで、ついに八百屋さんでアテモヤを購入して、実際に食べてみました。

そしたら、想像以上の美味しさで、感動してしまったっていうことを、今日は皆さんにご紹介したいと思います。

【アテモヤについて知ろう】

まず今更ですが、台湾のアテモヤについての認識を深めてみましょう。

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アテモヤがバンレイシとチェリモヤを掛け合わせた品種というのは皆さんもご存知かと思いますが、行政院農業委員会の情報によると、台湾でアテモヤが栽培されるようになったのは1965年のこと。イスラエルから持ち込んだ品種を栽培し、7月から10月にかけて収穫したまでは良かったのですが、追熟の過程で裂けてしまい、高い糖度ゆえに裂けた場所にかびが生えてしまうという問題が露呈してしまったんだとか。

そこで台東の農業改良場が11月から3月に収穫できるような品種に改良。安定した追熟が可能となり、97年ごろから栽培が広がったんだそう。

全国の栽培面積は約5900ヘクタール。年間産出量は約6万4000トン。主要生産地は台東県。全体の88%が生産されていて、一部は台南、彰化でも生産されているんだとか。ちなみに中央社フォーカス台湾の情報では、昨年までは中国を中心に年間1万2000トン〜1万5000トンが海外輸出されていたようです。

【柔らかくなるまで楽しみに待つのが楽しい】

で、今回のアテモヤ、近所の八百屋で1斤(600グラム)49元で売っていました。ブンタンのような大きさのものを選び、1個79元で購入。

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日本の情報番組では、「高級品」として紹介されていたのをみましたが、確かにリンゴやグァバなどの果物に比べると高いものの、1斤でこの価格なら、ライチやカット済みのパイナップルともそんなに変わらない気がします。そして可食部が多いので、割高感はさほど感じません。

前述の通り、食べるためにはマンゴーと同様、追熟が必要です。購入した時点では、リンゴのような固さがありましたが、購入後約5日程度で、触ったら皮がずれてしまうほどまで柔らかくなりました。冷やして食べると美味しいということだったので、冷蔵庫で3時間冷却させました。

食べるためにはもちろんカットする訳ですが、手のひら程度の大きさの巨大な果肉が、果たして僕が持つ小さな果物ナイフで切ることができるのかと不安になったものの、実際に切ってみると、スルスルと驚くほど簡単に切れていきました。実感としては豆腐を切っているよう。僕みたいに普段箸よりも重いものを持たないような人間でも、全く力を入れることなく、ストレスフルでした。

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【斬新な食感と優しい甘さが半端ない】

では、実食です。

なんということでしょう。はんぺんのような、新鮮なイカのような、ナタデココのような、完全に初めて食べる、なんともいえない食感が、それにはありました。繊維質が多いマンゴーやパイナップルのような果物とも全く違う、しっとりと、そして少しばかり弾力のある食べ応えが非常に斬新です。

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味はすっきりとした爽やかな甘さが後を引きます。若干パイナップルのような風味がしますが、全体的に優しい味。あと、追熟して少しだけドロドロになっている感じがドリアンにも似ているのですが、臭みがないので、本当に食べやすい。噛む力が弱い方にもぴったりだと思います。

くどくないので、次から次へと手が動き、あっという間に半分を平らげてしまいました。こんな美味しいもの、なんで今まで食べてこなかったんだろう。。。

 

ちなみに、これを書いている時点で、台湾ではシーズンが過ぎ、八百屋でもスーパーでもアテモヤの姿を見ることはほとんどできなくなってしまいました。

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ですが、日本に輸出されるアテモヤは、追熟させた上で冷凍されているので、これからの季節でもまだまだ食べられるチャンスがあります。というか、台湾でも追熟させた上で凍らせておけばいいんですね。

今後日本でどれだけ受け入れられるのか未知数ですが、僕はハマりました。すでに来年が待ち遠しいです。数多くの果物が生産されるフルーツ王国の台湾。やっぱり台湾に住んでいるからは、台湾でしか食べられない果物は積極的に食べていくべきだなと思いました。

まだ未経験の方、ぜひとも見つけて食べてみてくださいね。

 

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台湾国産のコロナワクチン「高端疫苗」を打ちました

介風見聞録にお越しいただき、有り難うございます。介(すけ)です。

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大変ご無沙汰しております。実は僕の使っているMacBook Airが旧型タイプなのと容量不足により、最新のosに更新できず、はてなブログにアクセスできない状況になっておりまして、更新が滞っておりました。

このたび、台湾の国産新型コロナウイルスワクチン「高端疫苗」を23日午前に接種してきましたので、そのご報告を携帯経由で書こうと思います。

【台湾のコロナ流行前後の生活】

ご存知の通り、今年4月末まで台湾はコロナの国内感染者がいなかったため、早急にワクチンを打つ必要など考えたことはありませんでした。呑気に5月中旬には友人と温泉旅行に行こうと計画していたくらいで、ワクチンは「秋くらいには接種できるだろう」と悠長に思っていました。

ところが、4月に国内患者が発生した際、そのうちの1人が僕と会社の同僚が食事をしたレストランに立ち寄っていた事実が判明し、自主健康管理を実施することに。2週間以内に入っていた友人との食事や遊びの予定は全てキャンセル。自宅と会社を毎日単純往復する生活が始まりました。

結局、僕や同僚の体に異常が現れることはなかったものの、5月中旬になり感染は一気に拡大。僕が住んでいる台北市文山区も、台北市では万華区に続いて感染者が多い自治体として報じられるなど、緊張感が高まりました。温泉旅行ももれなく中止に。

同月下旬には警戒レベルが第3級に引き上げられる可能性が濃厚となったため、スーパーに駆け込み、冷凍食品やインスタントラーメン、パンを確保しに行きました。僕の部屋にはキッチンがなく、調理器具が大同電鍋とポットしかなかったのですが、友人がいらなくなった電気調理器を譲ってくれることになり、カレーの食材も購入しました。

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仕事は全面リモートワークになるかと思いきや、当時していた仕事は出版物を取り扱っていたため、どうしても実物を扱わなければならない事情から、チームを2つに分け、交代で会社勤務と自宅勤務を分けた勤務体系が始まりました。とはいえ、会社に出入りしている外部の人に感染者が出たり、コロナが近くまで迫っている恐怖を感じずにはいられませんでした。

とはいうものの、台湾では感染が広がる前にワクチンの自費接種が始まり、僕の友人にも接種受けた人がいました。公費になってからは、過去に大きな怪我や病気で手術した経験、原住⺠などの身分、職業などの理由で続々と接種が増加。日本や米国、リトアニアなどの支援もあり、徐々にではありますが、接種対象が広がっていたのは、一種の安心につながりました。台湾の感染状況も7月中旬以降落ち着いてきて、感染の恐怖に怯えながら暮らすということもなく、精神衛生面で非常に良かったと思います。

で、7月中旬には公費接種の意向調査が行われ、7月末には希望するワクチンの種類に国産ワクチンが選択可能となり、8月16日に国産の高端ワクチンの予約が可能となったため、30分携帯電話と格闘して枠を獲得。接種となりました。

【待ちに待ったワクチン接種】

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接種会場に選んだのは、文山区の景美医院。比較的規模の小さい病院で、最近まで存在すら知らなかったのですが、健康診断で訪れた時、とてもアットホームで気に入ったので、ここを選びました。

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で、面白かったのは接種会場が騎楼だったこと。亭仔脚とも呼ばれる、建物の1階部分が奥に引っ込んでいて、屋根のある通路になっているアレです。接種は立ったまま。その横を普通に通行人が歩くすごい環境。でも、それも台湾らしくて良かったです。
受付で健康保険カードを提出して、予診票を記入、予診は「多喝水(たくさん水を飲んでね)」と風邪をひいた時のお決まりの言葉を言われただけで、そのまま接種へ。

高端ワクチンは1回使いきりタイプなのですね。全く痛みはありませんでした。

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別の会場で接種をした友人らは、医療スタッフと談笑したり、写真を撮ったり、和気藹々とした ムードもあったのですが、こちらでは次から次へとくる接種希望者をスムーズに接種させることを最優先にしているからか、全く無駄なく、まさに「流れるように」テキパキと作業が進み、15 分の経過観察を含めてわずか25分で病院を後にしました。 ちなみに高端ワクチンの2回目の接種は28日後、台湾で接種が進むアストラゼネカ製やモデルナ製 に比べて圧倒的に短く、僕より先にアストラゼネカ製を接種した同僚は、2回目を打つのは僕よりも後ということになっていて、効率が良いのは高端と言えます。

【接種後の経過観察】
摂取の際に渡された注意事項の欄には接種した部位に痛みや腫れが生じ、まれにかゆみ、寒気、発疹、鼻腔炎、喉の痛み、動悸などが見られ、ごくまれに顔面神経麻痺や眼圧が上昇するケースがあるということが書かれていました。

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で、以下、僕の接種後の状況を記しておきます。
当たり前ですが、個人の感想です。


23日10:10 左腕にワクチン接種。

23日10:20 直後の経過観察の時に左首筋のリンパがしびれるような若干の違和感を覚えたもののすぐになくなる。

23日11:00 スクーターで信義区の一蘭まで行って昼食。替え玉も頼む。(運転と食欲に支障なし)

23日14:00 自宅近くのカフェでこのブログを書く。左腕、肩、左首筋に筋肉痛のような痛みを感じる。とはいえ、四十肩のような腕が上がらなくなるような状況はない。

23日15:30 腕を上げようとすると、接種部位に軽い痛みを感じ、腕全体も筋肉痛のような鈍い痛みがある。腕を上げなければ全く違和感はない。そしてなぜか右腕も触ると筋肉痛のような鈍い痛みを感じる。

23日18:00 顔が若干痺れるような違和感を感じる。歯医者で麻酔をかけたような感じ。食欲は依然としてあり、テイクアウトのお寿司を食べる。アクエリアスがいつもより美味しく感じる。

23日19:30 両腕が筋肉痛のような状態が続く。

 

【以下、24日の追記】

 

24日9:30 両腕の筋肉痛は残っているものの、ほぼ生活に支障なし。起き抜けの体温は35.9度。

 

僕と同じ23日にワクチンを接種した友人らの話をまとめると、腕の痛みすら感じない人が複数おり、ましてや僕のように顔に痺れを感じる人はいなかったようです。

僕は当日、2日目含め、生活に支障がないレベルでしたが、それでも、割と副作用が出た方といえるかもしれません。

ただ、変化し続けるウイルスに対してどれだけ効果があり、それがどれだけ持続するか未知数。そして、世界で導入が検討されているワクチンパスポートについても、どれだけの国がこの台湾国産ワクチンを認めてくれるのか心配なところ。香港とかどう言う対応になるのか気になります。

とりあえず、今のところ僕は元気です。皆さんの参考になれば幸いです。

台湾でコロナ解雇されて海外ニートしてましたが再就職しました

介風見聞録にお越しいただき、有り難うございます。介(すけ)です。

ブログを書くのがすっかりご無沙汰になってしまいました。というのも、表題の通り再就職がらみでちょっとバタバタしたからです。最近やっと落ち着いたので、ご報告までに解雇から再就職までの顛末をお話ししようと思います。

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【心の準備はしていたけれど、やはりショックだった解雇通知】

簡単に説明をしますと、僕は元々、台北で某旅行情報サイトの編集をしておりました。台湾の旅行情報を日本人に向けて発信するという業務内容だったので、2020年の年初にコロナが流行し出した時、「お。これは俺の仕事にも影響しそうだぞ」と覚悟したのを覚えています。

ただ、おかげさまで台湾は防疫に成功したため、しばらくは毎日こなさなければいけない業務をいつも通りこなしていました。

事態が変わったのは3月下旬。日本人観光客の訪台ができなくなったため、急遽勤務時間が週5日から週2日になり、給与も約3割削減となりました。

とはいうものの、僕は元々、住んでいる家が質素で家賃があまりかからず、お酒を飲むといっても豪遊をするわけではなかったので、給与が少なくなっても貯蓄ができなくなるとはいえ、その日暮らしは十分にできる状態だったが故に、休みが増えて非常に快適な生活が始まりました。スクーターで遠出したり、普段会えない人に会いに行ったりと、却ってとても充実してしまい、「当面このままでもいいや」と呑気に考えていました。

ただ、そういった甘い考えは長く続かないもの。6月下旬に社長からラインで「契約は7月末まで」という解雇通知を受け取りました。コロナの影響が長引く中、最悪の事態は覚悟していたので、「遂に来たか」という感じでしたが、やはりショックでした。その日は仲の良い日本人の友人数人に電話をかけまくり慰めてもらったりもしました。皆さんには本当に迷惑をかけました。

それでも、精神的に凄く助かったのは2019年に取得できた永久居留証の存在。仕事がなかったとしても堂々と台湾に居座れるということが確定していたのと、あと少しだけ蓄えもあったので、結局「ゆっくり次のやりたいことを見つければいいや」という考えにたどり着き、当面は突如現れた夏休みを謳歌することにしました。

↓無職でも経済的な負担にならなかった家賃の比較的安い部屋の話はこちら

kennethqi.hatenablog.com

【悠々自適、堕落した海外ニート生活】

そして始まった海外ニート生活。もうね、毎日が楽しくて仕方なかったです。締め切りに迫られる仕事をしなくて良いし、そもそも朝に起きなきゃいけないということもなく、寝たい時に寝て、起きたい時に起きて、自分のしたいことをすればいいという日々。すぐに昼夜逆転した生活が幕を開けたのです。

しかも、ちょうど友人の勧めもあり、「シティーズスカイライン」という都市を建設するPCゲームにどハマりし、毎日10時間以上遊んでいたことも。元々超絶インドア派の人間だったので、家を出なくていいというのは本当に最高の日々でした。

面白かったのは、台湾人であれ、日本人であれ、僕が失業したことについて悲観的に考える人は一人もおらず、「お前だったら台湾で何しても生きていける」「フリーランサーになれ」「youtuberになったら絶対にバズる」と言われ続けたことでしょうか。

でも、気づいたこともありました。それは、僕が当初思っていた以上に堕落した人間であり、フリーランサーやyoutuberなどの仕事に向いていないということ。失業中に幾つか記事執筆や通訳案件のお話をいただいたのですが、もう、全てが面倒臭く感じてしまい、一部を除いてほとんど断ってしまいました。クライアントの要求に応じて文章を書くことや、自分の書きたいことをツラツラと適当に書くにしても、題材を探して、それを提案して〜という一連の作業が自分に向かないということを改めて理解したのです。

結局、この間にしていた仕事は普段からお世話になっている方からいただいた単発のお話を幾つか受けたのと、台湾の友人が手がける出版物のプロジェクトに参加し、約半年間その作業に没頭することになったこと。本当は広東語の勉強をしようかとも思っていたのですが、出版物のプロジェクトがそれなりに分量があるものだったため、なんだかんだで失業期間中の後半は忙しい毎日を過ごすことになりました。

【急に舞い込んできた再就職の話】

で、状況が急展開したのは今年2月下旬。以前から非常に親しくしていただいていた日本人のお姐様が3年強勤務していた台湾企業を退職し独立なさるということで、後任にならないかというお話が舞い込んできたのです。

まぁ、正直に言いますと、僕が解雇された時点ですでに独立を考えていたこのお姐様には「退職することになったら後任に推薦してください」という話をしていました。それでも具体的な時期は未定のままだったので、もう少し時間がかかっていたら別の仕事を探す必要があったのかもしれません。

もちろんそのままコネ入社ができるわけではなく、先方はきちんと台湾の転職サイトに求人を出していて、僕もほかの応募者と同様に面接と筆記を受ける必要がありました。なのでその日のうちに中国語の履歴書と職務経歴書を書き上げ、翌々日には台湾人の友人に中国語の添削をしてもらい、5日目にはお姐様を通じて書類を提出しました。

面接は雑談プラス業務内容の説明を聞くだけの非常に簡単なものでしたが、筆記試験については50分以内に300字程度の日本語の文章とその中国語訳を書くというものでした。

ちなみにこの筆記試験、先方からの面接前のメールで、「パソコンはこちらで用意します」といわれていたものの、万が一のために自分のmacbookを持ち込みました。そしたら案の定、提供されたPCはそもそも日本語入力設定がなされていなかったばかりか、中国語も注音入力設定だけで、僕が普段使っている拼音入力は、それこそインストールの方法から調べないといけない状態になっていたため、提供されたPCの使用は早々と諦め、自分のmacbookでの執筆に切り替えました。この点は、ほかの企業でも起こりうる状況なので、面接には自分が使い慣れた機材を持ち込む必要があるかもしれません。

で、おかげさまで一週間後には採用通知が届き、晴れて4月より台北で会社員復帰となりました。まだまだ新米社員なので、出来が悪かった場合、もしかしたら3ヶ月後に再び解雇される可能性はなきにしもあらずなのですが、とりあえず、目の前のことにむかって努力していこうと思っています。

僕の座右の銘は「船到橋頭自然直」(ケセラセラ)。今回のコロナ禍で、多くの人が職を失ったり、生活に困っている方がいらっしゃると思います。ただ、生きてさえいれば大概なんとかなるはずなので、どうか一緒に乗り切っていければと思います。

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台湾で日常的にスクーター移動をしていて思うこと

介風見聞録にお越しいただき、有り難うございます。介(すけ)です。

2月21日に新北市内の北宜公路でスクーターに乗っていた日本人学生が台湾人男性の運転する大型バイクと衝突し、台湾人男性が死亡、日本人学生が意識不明の重体になる事故が起きました。3月22日の続報によると懸命の治療が続いているこということで、一刻も早い回復を祈るばかりです。

僕自身も、台湾で日常的にスクーターを乗り回していて事故が起きた現場も何度か通ったことがあり、一報を聞いて他人事には思えませんでした。今回はこの事故や台湾でスクーターを運転してみて感じたこと、思ったことを記したいと思います。

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【バイク乗りなら走ってみたい北宜公路】

今回事故が起きた北宜公路は、その名が示す通り台北(新店)と宜蘭を結ぶ幹線道路です。全長13キロに及ぶ雪山トンネルを通る高速道路「国道5号(蔣渭水高速道路)」が2006年に開通してから通行量は減ったと言われるものの、沿道には銀河洞、鱷魚島、坪林などの風光明媚な観光スポットが点在し、週末になるとツーリングやドライブに訪れる人が大勢います。

ほぼ全線が片側一車線の山道。大体の区間で制限速度は40キロ。僕はいつも木柵を出発すると深坑、石碇を通り、坪林から北宜公路に入って宜蘭の礁溪に行きます。所要時間は約2時間。沿道は緑深い山々の景色が美しく、新北市と宜蘭県の境にある展望台から一望した蘭陽平原と太平洋はいつ見ても感動的です。宜蘭側には「九彎十八拐」と呼ばれるヘアピンカーブが連続する「難所」があるのですが、近年になってカーブの改良や拡幅が行われて走りやすくなっているようで、実際に走破してみても法定速度を守っていれば特に危険を感じることはありませんでした。

ただ、初めて北宜公路を走破した後にバイク屋のおっちゃんに得意になって報告したところ「気をつけなよ」と半ば呆れ気味に言われ「ちゃんと法定速度を守ったよ」と口を尖らせて反論したら「守ってない奴が突っ込んでくるんだよ」と返され、何も言えなくなってしまいました。確かに週末になると多くの走り屋が出没し、それを目当てに沿道のドライブインにはたくさんのギャラリーやアマチュアカメラマンが集まる状態。当然事故も多く、ネットで検索すればいくらでも悲惨な事故のニュースや車載動画が出てきます。

それでも、街から山、山から海へと目まぐるしく変わる景色が楽しめ、標高が変わるごとに感じる温度差、走り終えた後の爽快感は、何物にも代えがたく、ツーリングの醍醐味が手軽に味わえるのが、北宜公路の魅力だと個人的には思います。今回事故に遭ってしまった留学生も、そんな魅力を味わいたかったのではないかなと思うと、本当に胸が張り裂けそうになります。

【スクーターはやっぱり便利。でも覚悟もしてる】

今回の事故について「危険な場所に行くのが悪い」「全ては自己責任、自業自得だ」と言う人がいるかもしれません。ツイッターを見てみると、台湾の交通マナーの悪さを指摘する声もとても多く、「日本人は台湾でスクーターに乗らないほうがいい」という意見が多数を占めています。

毎日運転していると、台湾人の運転には不思議な部分が多々見受けられ、目の前で事故が起きたことも1度や2度ではありません。旅行者は安易に台湾でスクーターを運転しようと考えないほうが無難だという考えは間違いないと思います。ただ、台湾で暮らしている人間として、これだけ便利な交通手段であるスクーターを利用しない手はないというのと、台北市の中心部以外の場所に住んでいたり、自動車を所有していない場合、スクーターがないと生活を送る上で不便極まりないということも事実です。むしろ台北市以外はスクーターや自動車がなかったら大変なんだろうなぁと思います。

それと、僕の場合はスクーターに乗ってから行動範囲が驚くほど広がって、それこそ台湾に興味のある日本人が行きたがる「ディープな場所」に行けるようになり、台湾に対する見識をさらに深められました。仕事の上でも移動時間の短縮ができ、効率が上がりました。金曜日の退勤後に陽明山まで温泉に入りに行くなんてこともしていて、生活が今まで以上に充実したかなとも感じています。

新北市板橋に住む台湾人と結婚した友人(日本人)も、逞しくスクーターを乗り回してお子さんの送り迎えをしたり、大きな公園まで遊びに行ったりしています。赤ちゃんから高齢者までを含めた国民1.5人に1台の割合でスクーターを所持していると言われる台湾。危険と隣り合わせではありますが、皆さんそれぞれの事情で覚悟の上で運転されているのだと思います。

ちなみに、僕はスクーター購入時、バイク屋のおっちゃんに頼んでドライブレコーダーを装着してもらいました。後方から突っ込まれる可能性もあるからと前後にカメラがあります。また、保険屋で働いている友人に頼んでスクーターの任意保険にも加入しています。万が一の際に相手と自分の両方を守れるように対策を取っているつもりです。

とはいうものの、今月22日のTVBSのニュースによると、日本人今回の事故では当事者のドライブレコーダーの記録媒体が破損してデータの読み取りができなかったらしく、もどかしさも感じます。

【台湾人の意識が変わるのを切に願う】

日本も昭和30年代や昭和50年代に交通戦争と呼ばれた時代があり、尊いたくさんの犠牲を払った上で、ようやく交通死亡事故が減少しました。とはいえ、名古屋の運転マナーは悪く、岡山ではウインカーを使わない人が多いとされるなど、現在でもそれなりに課題があります。そんな中で日本人が台湾の交通事情をとやかく言う資格はないような気がしますが、台湾で運転する身としては、やはり台湾の交通マナーと事故を誘発するような道路の設計も変わってほしいと思います。

台北では最近、一部の交差点で歩行者用信号が車両用信号よりも早く青に変わって、安全に横断歩道が渡れる時間が確保されるようになったり、歩行者優先の概念が強く叫ばれるようになり交差点での取り締まりが強化されるなど、少しずつ変化の兆しが見えています。

台湾にせっかく暮らしているのに「台湾の交通事情が劣悪だから、公共交通機関で行けるところしか行けない」というのではとても悲しいです。安全に対する意識は一朝一夕に変わるものではありません。それでも悲しい事故がなくなれば、在台日本人がもっと自由に台湾を移動でき、交流も深まると思うのです。これには台湾人ひとりひとりが問題を自覚して、安全運転への意識を高めてもらうことしか方法はないのですが、そんな社会にするために僕自身もこれまで以上に安全に気を配りながら、台湾を走りたいと思いました。

最後に、台湾に旅行に来るみなさんに口を酸っぱくしてお伝えしたいことがあります。台湾では歩行中の事故もとても多いです。以前の会社は日本人観光客の多いエリアにあり、横断歩道を渡る時に前しか見ない日本人観光客を多数お見かけしました。もちろん、日本ではそれで良いかもしれませんが、台湾では現状、車の来る方向も見て安全を確保してから渡って欲しいなと思います。

歩きスマホはもってのほかです。楽しい台湾旅行が台無しにならないように、どうか気をつけて街歩きを楽しんでくださいね。

 

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台湾に住んで15年になって考えるアイデンティティの話

介風見聞録にお越しいただき、有り難うございます。介(すけ)です。

2005年に交換留学で初めて台湾に来てから、15年が経ちました。おかげさまで一昨年には永久居留証をいただき、勝手ながら台湾を構成する人間の一人になれたのかなぁと思っています。ただ、こういうことを言ってしまうと、厚かましく感じられる方もいらっしゃるかもしれません。実際、日本国籍である僕は、多くの台湾の方々のご好意とご尽力により、暮らさせていただいています。しかしながら、これだけ長く台湾で暮らしてしまうと、日本人としての自覚や意識も希薄になっているのも事実です。

今回は、在台15年が経った僕のアイデンティティについて、なんとなく落とし所がついた話をしようと思います。

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【日本人だけれど日本に思い入れがないことに気がついた】

生まれも育ちも東京の都下で、20歳に交換留学で台湾に来るまで海外経験がなかった僕ですが、台湾に来てからホームシックになるということは一度もありませんでした。もちろん、中国語が思うように話せないもどかしさで辛いなぁと思った時期もあったものの、当時はまさかこんなに長く台湾に滞在するとは思っておらず、いつか日本に帰るだろうと思っていたので、ホームシックになる環境すらなかった気がします。台湾だとなんだかんだで日本食が食べられますし、日本のテレビ番組だって見れますし。不自由を感じたことはありません。

ただ、5年、10年と滞在が長くなるにつれ、気付いたことがありました。それは、自分がそもそも「あまり日本に対して思い入れがない」ということ。自由に海外旅行ができた時期でも、東京の実家に帰るのは1年半に一度あればいいくらいで、年間滞在日数では日本よりも香港の方が長いことがままありました。(といっても数日の違いですけれども)

日本の春のソメイヨシノを見て美しいと思いますし、冬に外へ出て耳まで痛くなる寒さを感じて「いとおかし」と感じたり、本場の日本料理を食べて美味しいと感じることもあるわけですが、別にそれを体験しなくても、死ぬわけではありません。

逆に、台湾にいても、春に陽明山に咲くカラーを見たり、初夏にライチを食べたり、夏にマンゴーを食べたり、年越しには寒さに耐えながら台北101の花火を見たりと季節感や文化を感じられるわけで、台湾には台湾の良さが沢山あることに気づきましたし、それが僕の中で日常の風景になったのかもしれません。

しかも最近は香港やシンガポール、タイなどにも興味が出てきていて、日本だけにこだわる理由もないと思い始めてきました。

こう考えられる背景としては、中国語や台湾の生活に不自由しなくなったり、たくさんの友人ができたりと、台湾での生活の基盤がしっかりとできたこと、台湾での生活を通じて、香港やシンガポール、タイに精通する友人ができたことなどの影響が大きいのではないかなと感じています。あと、家庭環境がぼちぼち複雑で、家族間であまり深い絆がないというもの大きいかもしれません。

【別に日本人らしくなくたっていいじゃない】

とはいうものの、日本人でありながら日本に興味がないというと、周りの人には不思議に見えるようで、「日本人なのに……」「変わってますね……」と絶句されることもしばしば。なんとなく遠回しに非国民とか、売国奴と思われているような複雑な気持ちになることもありました。

そんな中、数年前、台湾で活躍しているある日本人作家のインタビューをした際に、とても印象に残る言葉を聞き、それまで心の中に引っかかっていたしこりのようなものが取れるようなすっきりとした感覚がありました。それは、「アイデンティティはマーブルのようなもの」という言葉。

多くの人は日本人、台湾人、アメリカ人などとと国籍で個人のアイデンティティを判断しがちですが、実際は花蓮の大理石のように2色(もしくはそれ以上)の色が混在しているというのです。その色は完全に溶け込んでいるわけではなく、絶妙かつ複雑に混ざり合っている状態。

確かに、人それぞれ育った環境や受けた教育、時代背景などが違うわけで、国籍だけで人を判断するというのは到底無理な話。特に台湾のように外省人、本省人(さらに閩南人と客家人)、原住民(平埔族を含む)、新住民とたくさんのエスニックグループが暮らす場所では、そもそも台湾人という言葉で一括りにできる人々ではないはずです。ただ、同じ台湾という土地に暮らしている以上、お互いが影響しあってそれぞれが独特のマーブル模様を形成しているというのは十分に納得ができる考え方です。

セクシャリティについても、男と女と二分化するのではなく、グラデーションだとする考えが広まっていますが、まさに同様の考え方ですよね。

昨年、李登輝元総統が亡くなり、彼のアイデンティティについて取り沙汰されることが多くありました。彼はまさにこのマーブルのアイデンティティを持ち、TPOに応じて無意識のうちに使い分けていたのではないかなぁと思います。

僕の場合は、生まれ育った日本人らしい部分と、生活の基盤となっている台湾人らしい部分の双方があると言えるかもしれません。

台湾の友人であれ、香港の友人であれ、僕が珍しく日本語を喋っている場面に出くわすと「忘れてたけど、お前日本人なんだよな」と言われるようになっているので、僕の中にも台湾人らしさというのは多かれ少なかれあるのだと思います。

 

長々と書いてきましたが、結論としては、僕のアイデンティティが、誰か別の人に決められるものではなくて、時と場合によって無意識ながらも流動的に、絶妙に切り替えられるものなのだなぁと理解できました。それと同時に、僕以外の人たちも同様で同じ土地や国に暮らす人の中でもたくさんのアイデンティティが混在しているのだなぁという意識が芽生えるようになりました。

国籍だけを理由に先入観や固定概念で相手の性格や習慣を決め付けるのではなく、その人の背景や環境も理解した上で、接することが一番なのかなと改めて考えられました。十人十色という言葉があるように、多様性のあることをたくさんの人が理解して、それを認め合える環境があるといいなと願わずにはいられません。そして、このことに気づかせてくれたのは、この台湾という土地に暮らしているからで、改めて台湾に感謝しなきゃいけないなと思いました。(小並感)

 

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【香港特別行運冰室】本場の味が味わえる茶餐廳がパワーアップして移転オープン

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最後に香港旅行をしてから1年半。非常に深刻な香港ロスに見舞われております。「香港製造」の「出前一丁」を食べたり、最後の香港旅行で買った維他檸檬茶をちびちび飲んだりしていますが、香港に行きたい症候群は悪化するばかり。そんな中、台北にある香港スタイル茶餐廳「香港特別行運冰室」が台湾大学に近い公館エリア移転し、プレオープンしたとの情報を聞きつけ、香港にお詳しい大先輩のmimiさんと一緒に訪問してみました。

↓mimiさんのブログ「香港ねこと台北暮らし」

mimicafe.net

【香港らしさを残しながらも洗練された感じに】

行運冰室は昨年までオフィスが立ち並ぶMRT南京復興駅の直ぐ近くにあったのですが、賃貸契約の満了に伴い閉店。移転先はMRT公館駅と台電大樓駅の中間地点、台電大樓(台湾電力本社ビル)の向かいにある路地を入った飲食店が点在する住宅街の中。雨傘革命後に香港から台湾に移り住んだ人たちで運営される茶餐廳「保護傘」とも徒歩数分の距離にあります。台湾大学や師範大学にも近く、実際に僕たちが訪れた時も、多くの学生さんが見受けられました。客層がガラッと変わった気がします。

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以前と同じく角地に面しているのですが、以前にも増して窓が非常に大きくなり、明るい印象。正直、外観だけを見るとお洒落なカフェで、ぱっと見、香港スタイル茶餐廳とは思えないスタイリッシュさに仕上がっています。

スタイリッシュになったのは外観だけでなく、内装もでした。香港らしさを漂わせる垂直の背もたれの4人掛けボックスシートは健在ですが、奥の壁側には半円形のソファがある6〜8人向けの席ができていました。適度な硬さのクッションがついて、座り心地が向上。期待が高まります。

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【香港の味が楽しめるメニューは若干お高めですがそれだけの価値アリ】

プレオープン中ということで全てのメニューを提供しているわけではなかったようですが、メニューを見る限り内容や品数としてはあまり変わっていない模様。

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今回は週替わりのランチセットの中から、トンカツ定食の「鴛鴦吉利豬扒飯」(180元)をオーダー。スープと70元分のドリンクがついてきて、ドリンクは絲襪奶茶をセレクトしました。

オーダー時にはぶっちゃけこの「鴛鴦」が何を指すのかわからなかったのですが、運ばれてきたのを見て納得。チーズソースとトマトソースがかかっていました。

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チーズソースは濃い味わいがグッド。トマトソースはほどよい酸味が絶妙でした。トマトソースというと、ケチャップを使うお店も多いですが、こちらは本物のトマトを使っているようで◎。

ご飯は台湾で一般的なジャポニカ米ではなく、香港らしく細長いインディカ米。こういったところにこだわりを感じます。些細なことですが、香港ロスの自分からすると、本当に嬉しい配慮です。

スープはキャベツのスープでしたが、かなりしっかりと味つけられていて、若干塩辛かったのですが、僕は完飲しました。

絲襪奶茶はちゃんとエバミルクの分厚い陶器のカップに入れてサーブされます。こちらも十分に濃厚で香港の味。無糖の状態で提供されるので、甘いのがお好きな方はテーブルの上にあるお砂糖を足してください。台湾のミルクティーも美味しいですが、香港のミルクティーには香港の良さがあります。目をつぶればそこはもう本当に香港。

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それと、やっぱり外せない「行運冰火波蘿油」(香港パイナップルパン)もオーダー。結構ボリューミー。表面はサクサクで中はフワフワ、バターとパンが混ざり合ってジューシーになり、文句なしの美味しさ。大満足でございました。

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それと、凍檸茶はかなり厚切りのレモンが3枚乗っていて、太っ腹な感じ。

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ちなみにBGMはカントポップが延々と流れていました。一昔前の誰もが知っている曲ばかりを流しているのかな?と思ったところ、俺が今どハマりしていて、昨年リリースされた「一人之境」が香港電台の十大中文金曲にも輝いた林家謙(テレンス・ラム)の曲も2曲流れたのを確認したので、最新の曲も流れるようになっているようです。

台湾で180元という値段は少しいい値段な気がしますが、とても丁寧に調理されていて、見栄えも、味も非常に満足いくものに仕上がっています。

あと、公館エリアに移転したことで、食後に近くをぶらぶら散歩したり、カフェに行けたりするようになったのは、個人的に嬉しいポイント。友人を誘いやすくなりました。カウンター席もあったので、一人での利用も可能。気軽に利用できるようになったので、今後はいままで以上に通いたいと思います。

【香港特別行運冰室】

台北市大安區羅斯福路三段283巷21弄2號

(02)2362-7900(予約はできません)

 

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【點水樓】ゴロゴロの肉厚ハムが美味しい大根餅は食べ応え抜群

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前回のブログで飲茶レストランの小三元の黒トリュフ大根餅をご紹介したばかりなのですが、旧正月(2021年は2月11日)を前に江南料理レストランの「点水楼」から大根餅「點水必發蘿蔔糕」をいただいてしまいましたのでご紹介します。

過去の点水楼の記事はこちら↓

kennethqi.hatenablog.com

小三元の大根餅に関してはこちら↓

kennethqi.hatenablog.com

【賞味期限はやっぱり3日】

今回いただいたのは旧正月の時期にだけ販売される「年菜」と呼ばれるおせち料理シリーズの中の一つ。「必發」とは「必ず財を成す」という縁起のいい名前が付いています。まぁぶっちゃけ、商品自体は旧正月の時期にも普通に売ってたりするんですが。

大三元の大根餅と同様、必ず冷蔵で保管してください。それでも賞味期限は3日。1000グラムあるので、ご家族や仲間など、大人数で食べることをオススメします。てか、大根餅って本当に日持ちしない食品なんですね。

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箱を開けてみると出てきたのは、直径25センチもありそうな大きな円盤型の大根餅。まるでホールケーキみたいです。普段食べる大根餅って四角形が多かったのでどう切っていいのか悩み、結局適当に切ってしまったのですが、後になって公式ウェブサイトを見てみると、まさにケーキのように、円の中心に向かって切り分けるのがいいみたいです。まぁ、食べてしまえば味は同じですよ。

【オススメの調理方法は、蒸し上げること】

さて、実食と行きましょう。我が家にはキッチンがないので、またまたやってきました友人宅。「最近お前と家族以上に会ってるよ」と嘆かれましたが、心よくキッチンを貸してくれました。

kennethqi.hatenablog.com

点水楼公式の調理方法は、適当な大きさに切って、蒸し上げるのがいいとのこと。もちろんお好みに合わせて焼いてもいいようですが、小三元の大根餅は焼いたので、今回は蒸してみることにしました。

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さらっと「蒸し上げる」と書きましたが、使うのは台湾人のソウル家電「大同電鍋」。蒸し用の中敷を敷き、お皿を置き、食べる分だけの大根餅を入れ、さらに中敷がヒタヒタになるくらいまで水を入れてスイッチオン。後は適当に待っていれば、20分もしないうちに出来上がります。油を使わず、蒸籠もいらず、汚れる調理器具も最小限に抑えられるのでお手軽です。

【口どけ柔らか、ちょっと甘みのある大根餅の出来上がり】

蒸し上がってから蓋を開けると、中から飛び出てきたのは、水分を吸ってちょっとふっくらした大根餅。おいしそうなキツネ色に仕上がる焼きとは違い、キラキラと輝いていて美しいと感じられます。

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特製ダレや唐辛子タレなどはついていないので、こちらで醤油ペースト「醬油膏」を別途用意しました。

箸で持ち上げられる適度な固さなのですが、口の中に入れた瞬間、トロッと溶けるような食感がありました。外がカリッと仕上がる焼きとはまったく違う食感が楽しめますね。

なお、こちらの大根餅、製造過程では鶏ガラスープを使い、水は一切使っていないんだとか。さらに小エビの香りがブワッと広がり、とっても食欲をそそります。そして、噛んでみると、ゴロゴロした大粒の豚肉があるのに気づきます。これ、中国ハムとされるベーコンのような「金華火腿」と呼ばれるハムで、江南料理に欠かせない食材。日本人が想像するハムとは違い、肉厚で、噛みごたえからてっきりチャーシューかなと思ったほど。柔らかな大根餅と食べ応えのあるハムのコントラストが素敵です。蒸して調理したせいか、大根の自然な甘みが堪能できるのもグッドです。

【マフィンのようなスコーンのような……養生發糕もオススメ】

で、実は今回、大根餅と合わせて「養生發糕」というスイーツもいただきました。蓋を開けてみると出てきたのはマフィンのようなケーキ。今回は4種類あり「酒釀桂圓(酒釀キンモクセイ)」「酒釀蔓越莓(酒釀クランベリー)」「黑芝麻(黒ごま)」「奶皇鹹蛋(カスタード鹹蛋(アヒルの卵の塩漬け))」。カラフルでどれを食べようかワクワクしてしまいます。

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調理方法は2種類。蒸し上げるか、オーブンで焼くか。今回友人がドヤ顔で「ノンオイルフライヤー買ったからそれで調理しなよ」とオススメしてきたので焼くことにしました。推奨調理時間は蒸し上げる場合は5〜7分。オーブンの場合は150度で8分だそう。

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で、出来上がりがこちら。

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食べてみると、カリッと仕上がっていて、食感はスコーン。ほどよいしっとり加減でボソボソすることはありません。そして何よりも香りがいい。この時は奶皇鹹蛋と黑芝麻を食べたのですが、濃厚な味わいで非常に満足感が得られます。

蒸した場合はさらにしっとりとした食感になって、マフィンまたは蒸しパンみたいな感じになるんでしょうね。こちらも好みに合わせてたくさんの調理方法が選べるのがいいですね。

台湾に滞在されている皆さんの中には、旧正月に合わせてパートナーさんの実家などに帰省されたり、友人宅を訪れる機会のある方も多いとおもいます。お土産の選定に困ったら、ぜひ点水楼の年菜をご検討くださいませ!

年末のムードが徐々に高まっている台湾。院内感染を発端とするコロナの国内感染が徐々に広がりつつあり、少しだけ不安ではありますが、穏やかで健やかな旧正月を迎えられればと思っています。

↓詳細について、年菜関連の情報はニュースリリース欄から「2021年菜DM」を、ご注文や商品一覧はメニューの「網購」からヤフーショッピングまたは楽天ショッピングに進んでごらんください。なお、これらの商品は南京店での店頭受け取りとなりますので予めご了承いただき、ご不明な点は各店舗へお問い合わせください。
www.dianshuilou.com.tw

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【小三元】ミシュラン1ツ星レストランにルーツを持つ「黒トリュフ大根餅」は香ばしくて美味!

介風見聞録にお越しいただき、有り難うございます。介(すけ)です。

台湾を代表する超高層ビル「台北101」地下1階のフードコートに「小三元」という飲茶レストランがあります。美味しいのにリーズナブルゆえ、手軽に食べられるので、2019年のオープン以来、足繁く通っています。

そんな「小三元」からこの度、ネット限定で「黒トリュフ大根餅」という新メニューが登場したと聞き、早速そのお味を堪能してきましたのでご紹介します。

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【台北ミシュラン1ツ星の大三元の姉妹店です】

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パステルピンクの壁に、白い天井。いかにも最近のSNS映えを意識した内装のお店。「ポッと出の新しいお店で、内装はよくても、味はそうでもないんじゃないの?」と思ってしまいそうですが、ご安心ください。

実はこのお店、台北駅近くにある老舗広東料理レストランで、台北ミシュランガイド1ツ星を獲得している「大三元酒楼」の姉妹店なんです。小三元のオーナーは大三元の現オーナーの妹さんであるPeipeiさん。日本への留学経験があり、日本語も堪能で素敵な方です。なんでも学生の頃から大三元でお手伝いをしていたそうで、大三元の良さをしっかりと受け継いでいます。

大三元は宴会などに利用される高級店なのですが、小三元のコンセプトは若者にカジュアルに飲茶を楽しんでもらいたいという点。とはいえ、フードコートにありながら、座席は小三元で独立していて、ゆっくりと食事が楽しめます。

↓過去のレビューはこちらからどうぞ(繁体字中国語)

https://www.instagram.com/p/CD2y_IVn3ex/?igshid=oov4gwtsaz9y

www.instagram.com

【黒トリュフ大根餅はネットで事前注文を】

で、今回の黒トリュフ大根餅は、前述のようにネット限定。指定場所への配達のほか、店頭での受け取りも可能です。通常はオーダー後7日営業日でお届けできるそう。ただ、配送量が増える時期に関しては2週間程度の余裕を持って注文してほしいとのこと。2021年の旧正月に間に合わせるには1月末までの注文が必要です。ちなみに、大根餅は要冷蔵で、一番美味しい状態で食べて欲しいということから賞味期間はわずか3日。確実にこの日に届いて欲しいという場合は、備考欄に配達指定日を記入してお問い合わせくださいね。

ちなみに、小三元は大根餅以外に冷凍の点心を販売しています。じゃあ、なぜ大根餅は「冷蔵」なのかというと、凍らせてしまうと解凍した時に水が出てしまい、大根餅のモチモチ食感が損なわれてしまうからだそう。

【実際に調理していただきます】

僕の家にはキッチンがないので、やってきたのは前回のブログでもご紹介した友人宅。

kennethqi.hatenablog.com

黒トリュフ大根餅は贈呈用として利用できるように、おしゃれなパッケージに入っています。

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実は僕、大根餅を調理するのは初めてだったのですが、調理方法は非常に簡単。サラダ油で表面がきつね色になるまで焼くだけです。バターやオリーブオイルは、黒トリュフ大根餅の元々の風味をなくしてしまうので、やはりサラダ油でお願いします。注意が必要だとすれば、柔らかく、崩れやすいので、フライ返しで優しくひっくり返すことくらいでしょうか。

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蒸籠や大同電鍋を使って蒸し上げるのもオッケーだそう。蒸す場合は油を必要としないのでヘルシーにいただけますね。Peipeiさんのお話によれば、焼いた場合は黒トリュフとソーセージの香ばしさが引き立ち、蒸した時には大根の甘さが味わえるとのこと。お好みの調理方法で楽しんでください。

完成したのがこちら。

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しっかりと味が付いているので、醤油はつけなくて大丈夫。特製唐辛子タレがついているので、お好みでご利用ください。

一口食べてみると、口いっぱいにエビの濃厚な香りがぷわ〜んと広がり、食欲を掻き立てられます。柔らかいながらもモチモチの大根餅の食感に、ミンチされたソーセージのちょっと硬い食感が絶妙なハーモニーを醸し出していて、食べ応えも抜群。そして、噛めば噛むほど、後から黒トリュフの香りが広がってくるという、何層もの美味しさが波のように押し寄せる新鮮な味が楽しめました。

この黒トリュフはイタリア産のソースになっているものを使っているそうなのですが、トリュフそのものも混ざっていて、大根餅に点在する黒いツブツブがそれ。

大根餅というと、台湾、香港、韓国などアジア圏で非常にポピュラーな食べ物で、僕自身、何度も食べたことがあるのですが、この黒トリュフ大根餅は、これまで食べたことのない新しい美味しさを届けてくれました。

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豚肉が入っているので、日本への配送ができないのが残念ですが、台北在住の方、ぜひとも召し上がってみてください。そして、旧正月期間などに友人や親族宅を訪問される方も、ぜひ贈呈用として利用してみてくださいね。

【商品情報】

黑松露臘味蘿蔔糕禮盒

内容量:1000グラム

値段:450元

【店舗情報】

小三元 台北101店
住所:台北市市府路45號(台北101 B1)
営業時間:11:00〜21:30(金・土曜、休日の前日は〜22:00)

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