介風見聞錄

台北に暮らす「介(すけ)」のあることないこと。

【台湾のお宅拝見】最新の公営賃貸住宅に潜入してみた

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昨年の秋、10年来の付き合いの友人が、「青年社会住宅」と言うマンションに引っ越しをしました。この青年社会住宅は、簡単に言うと公営賃貸住宅なのですが、台湾では近年、台北、新北、桃園、高雄などの大都市を中心に建設が進んでいる比較的新しい制度や規定に基づいた住宅で、大きな注目を集めています。今回、色々買い揃えるものを買い揃えて「遊びに来ていいよ」と言われたので、引っ越し祝いを兼ねて、新築のマンションに潜入してきたのでご紹介します。

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【青年社会住宅とは】

台湾では全国的に、高止まりしている不動産価格が社会問題となっています。賃金は上がらず、若者を中心に住宅の購入はおろか、ルームシェアをしなければ賃貸住宅の家賃の捻出が難しかったり、仮に一人暮らしができても貯蓄する余裕がないという人が多い現状があります。

低所得者向けの公営住宅には、1950年代から建設が始まった「国民住宅」という、国が建設した分譲および賃貸集合住宅があるのですが、2010年代から居住性を向上させた住宅の建設が始まりました。その賃貸タイプが今回取り上げる「青年社会住宅」で、分譲タイプは「合宜住宅」と言います。

で、この青年社会住宅、台北市と新北市の場合、申請条件は20歳以上で、申請する自治体に1年以上本籍を置いている者。さらに家庭の総所得が100万台湾元を超えていないことも条件です。また、65歳以上、障碍者、原住民、低所得家庭、特別な理由がある場合は優先的に入居できるそうですよ。ただ、同じ戸籍内の直系家族または配偶者名義で住宅を所有している場合は、申請ができません。

僕の友人は新北市で申請をしたのですが、原住民+低所得というダブルコンボで3倍の競争率をかいくぐり見事当選し入居と相成りました。ちなみに一回の契約は3年間。状況に応じてさらに1度契約を更新することができ、最長6年入居できるそう。友人の場合は、上記の理由から最長12年暮らせるんだとか。

【豪華なマンションでさながら小さな街のよう】

某MRT駅から徒歩5分。元々休耕地だった再開発地に建てられていたのは、18〜22階建てのマンション4棟。Ⅰ.5haの敷地に約1000戸の部屋があるそう。基本的には単身者用のワンルームが全体の7割を占め、残りがファミリー向けになっているんだとか。

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Ⅰ階ロビーには管理人が常駐し、セキュリティもまずまず。コンビニやコインランドリー、入居者が利用できるジムなどもあるほか、カルチャースクールなどの講座が開ける会議室、託児所、遊具なども完備しています。地下には駐車場、駐輪場もあります。路上駐車が基本の台北や新北市の市街地では、地下にきちんと駐車スペースがあるのは嬉しい限りです。

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僕は小さいころ、多摩ニュータウンの都営団地で暮らしていたことがあるのですが、それとは大違い。ただ単に住宅を建てるという訳ではなく、小さな街を作り上げるといった感じ。まぁ、1000戸あればそうなりますよね。

【約12畳のワンルームは家賃7000元】

友人が当選したのは約12畳のワンルーム。家賃は月7000元。家賃は僕の部屋と変わらないですが、2倍の広さがあります。ただ、この家賃は僕の友人の場合であり、同じ間取りでも入居者の条件が違えば、また違った家賃になるそう。

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クーラーと湯沸かし器、IHコンロと換気扇、クローゼット、ベッドが備え付けてありました。友人はソファ、ダイニングテーブル、テレビ、衣類掛け、冷蔵庫、洗濯機、収納棚などなどを追加購入。元々実家暮らしだったので、改めて買い揃えたものがかなり多かったようです。

さすが新築のマンション。明るくて清潔で居住性は抜群。小さいですがベランダもあります。浴室にはバスタブはないものの、床はバリアフリーながら非常に排水されやすい構造になっているほか(←台湾の住宅ではここが重要)、滑りにくく、速乾性のある材質のものが使われていました。しかも、浴室乾燥機付き。

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そして友人6人で騒いで気づいたのは、台湾の住宅では珍しく、防音がしっかりしていて、廊下にいても部屋の音がほとんど聞こえないということ。「すげー!!!」と感嘆しきりでした。

問題があるとすれば、広大な土地に建てられたので、近隣に飲食店やスーパーなどがなく、徒歩ではちょっと生活しづらいということ。まぁ、スクーターがあれば特に不便は感じないでしょう。台北市の社会住宅の場合は割と利便性が高いようなので、条件さえ合えば台北市で申請してもいいかもしれません。それだけ倍率が上がるかもしれないわけですが。

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何はともあれ、友人が新たな生活を始めて嬉しい限り。しかも僕の家からスクーターで15分もかからない場所なので、暇さえあれば遊びに行けるのも便利。実際に足を運んでみて、僕も申請したいなぁと思ったのですが、当然のごとく外国人の申請はできないそうなので、当面今の家に住み続けることになりそうです。

 

↓介の部屋紹介(動画もあります)

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