介風見聞錄

台北に暮らす「介(すけ)」のあることないこと。

【マンダリン航空】台北松山→金門尚義 E190型機搭乗記【引退決定】

介風見聞録にお越しいただき、有り難うございます。介(すけ)です。

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先日、初めて金門に遊びに行ってきました。2泊3日だったのですが、それはそれは大きなカルチャーショックを受けた旅になりまして、そのことについても今後書き記したいのですが、今回は行きと帰りの飛行機の話です。

交通オタクの僕からすると、目的地とを往復する移動手段も旅行の大きな目的の一つ。特に往路の飛行機はエンブラエル190型機というもので、多分最初で最後の搭乗になると思うのでここに記録したいと思います。また、復路は再びタイガーエア台湾便に搭乗したので、往路との比較を記します。

【目的は引退が決まった国内線の主力機・エンブラエル190型機】

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そうです。今回の目的はマンダリン(華信)航空が運航するこのエンブラエル190型機(ERJ190またはE190)に乗ること。2007年に導入され、国内線の主力機として運航されてきたほか、高雄−香港線、台中−成田線の国際線にも投入されていました。

ブラジル・エンブラエル製の旅客機で104人乗り。シート配列は2−2でシートピッチは31インチ。巡航速度は890キロ。台湾ではマンダリン航空だけが導入していました。日本ではJALグループが2008年にE190より少し小型のE170を、2016年にE190を導入。フジドリームエアラインズは2010年からE170とE175を運航していて、割と使い勝手は良さそうなのですが、運航距離が短く、離着陸の回数が多くなる台湾の国内線では、オーバースペックでコストがかかり過ぎたようで、2017年にはやはり旧型のジェット機MD82/83型機を運航していた当時のファーイースタン(遠東)航空と競うようにターボプロップ機のATR42-600型機を導入し、将来的に国内線の主役の座はATRに任せるという計画が立てられました。(ただ、ファーイースタンは当時、保有するMDが機齢25年を超えたために仕方なくATRを導入した経緯があるのですが)

ATR42-600型機は競合するユニー(立栄)航空や2016年に解散したトランスアジア(復興)航空も主力として運用していて、現在台湾の空はATRが担っているといってもいいでしょう。巡航速度は551キロ。シートピッチは30インチ。座席数は70席。E190と比較すると格段にレベルダウンしている訳ですが、現在の台湾の航空需要というのはこういうものなのでしょうね。

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で、そんな中今年9月に飛び込んできたのが中央社のニュース。それによると、その時点でマンダリン航空は6機のE190をリース運航していたのですが、10月から毎年2機のペースで退役させ、3年以内に全機を引退させる計画をマンダリン航空が発表したというのです。ちなみにこれまでE190が担っていた国際線運航については、チャイナエアラインが導入するエアバスA321neoと共有するとのこと。

兎にも角にも、導入からわずか16年での引退が決まったということであれば早く乗らなければ機会はどんどん減ってしまう訳で、今回の金門旅行では必ずE190に乗ろうと決心したのでした。

しかし、新型コロナウイルスの防疫に成功した台湾では、国内旅行が大ブーム。11月は通常閑散期にあたるはずなのですが、航空需要は絶賛高止まっていたようで、僕が選んだ日は座席数の多いエアバスA320で運航するタイガーエア台湾の応援便がたくさん。逆にE190の便はごくわずか。しかも運賃も微妙に高かったのですが、同行する友人に事情を説明して往路のみですがやっとこさE190の便を確保しました。

ちなみに、澎湖から台湾本島に戻る際に搭乗したタイガーエア台湾エアバスA320の搭乗記は下記リンクからご覧ください〜。

kennethqi.hatenablog.com

【想像していたよりも小さいけれど快適な機内】

前置きが非常に長くなってしまいましたが、ここからが本題。当日は友人との待ち合わせの時間よりも30分早く松山空港に到着して展望台で飛行機ウォッチング。ここの展望台は国内線のエプロンに面していてコロナ禍でも賑わっています。

で、いましたいました。目的のE190。シュッとしていて鼻が長くてスマートな飛行機なんですよ。ボテッとしているATRも可愛いといえば可愛いのですが、お洒落な飛行機はやはり魅力的です。

ただ、実際に搭乗してみて感じたのは、想像よりも天井が低いかなという印象。「ATRはそもそもが小型の機体なので窮屈に感じるのは当たり前、逆にE190は客室の下に貨物室があるし、もうちょっと高さに余裕があるのでは」と勝手に思っていたのですが、実際にはATRと同じくらいの圧迫感がありました。前方では荷物入れに頭をぶつける男性もいたくらいなので、やっぱり機体が小さいのかもしれません。とはいうものの、シートピッチ31インチはとても快適。座ってしまえば、天井の低さは全く気になりませんでした。

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キーンとちょっと高めのエンジン音を響かせながら台北松山空港を離陸。一定の高度に達すると、耳をつんざく騒音はなくなり、快適な空の旅が始まりました。

ただ、ちょうどこの日は台湾南部沖を台風が通過した関係で、一度シートベルトのサインが消えたものの、程なくして再び点灯し、3人いた客室乗務員さんが着席する場面も。しかしながら実際には大きな揺れはなく、台中を少し過ぎたあたりからから機内サービスが始まりました。

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ドリンクのサービスで、ホットコーヒー、ホットウーロン茶、オレンジジュース、ミネラルウォーターから選べました。僕はホットコーヒーをチョイス。飲み慣れているキャセイのコーヒーと比べると苦味が少なく、台湾人の好みに合わせた飲みやすいコーヒーなのかなと思いました。

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僕の左前方にいたご婦人は喉が渇いていたのか、2回もドリンクをお代わり。それでも客室乗務員さんはしっかり対応していたので、台北−金門線は比較的サービスに余裕がありそうです。

さらに機内販売も実施。マンダリン航空オリジナル商品の詰め合わせなどをカゴに入れて販売していました。この感じではコロナ発生前のサービスに戻っているようです。

台北から金門までの飛行時間は50分。実際にはもう少し早く到着していたかもしれません。ドリンクを回収し終わるとすぐに着陸態勢に入りました。着陸も非常にスムーズ。本当にあっという間に金門に到着してしまいました。

E190はボーディングブリッジが利用できるのもメリットの一つ。階段の乗り降りや雨に濡れる可能性を避けられるのは、ATRに比べてわざわざ選ぶ価値のある機体なのかなとも思いました。

【比べてわかるタイガーエア台湾機とのサービスの落差】

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さて、復路は前述のようにタイガーエア台湾の運航による応援便。座席に着席してすぐ気付いたのが、シートピッチの狭さ。以前のブログにも書きましたが、タイガーエア台湾のエアバスA320はシートピッチが28インチで、E190の31インチよりなんと3インチも狭いんです。3インチ=7.62センチです。僕は台湾人と比べると圧倒的な足の短さなのですが、それでもわかる窮屈さ。天井はそれなりに高いですが、逆に着席してしまえば、狭さが際立つものです。

さらにドリンクサービスは烏梅汁と呼ばれる梅ジュースの一択のみ。4種類の選択肢があったマンダリン航空便とは大きな違いです。そして機内販売もなかったほか、往路ではシートポケットに入っていた機内誌や免税品のカタログはなく、機体前方のマガジンラックに機内誌だけがまとめて置かれているだけでした。気づかないと読めないのはやはり不便。僕、機内誌も毎回楽しみに読むのですが、気軽に読めないのはとても残念でした。

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たった50分〜1時間のフライト時間で文句を言うのも大人気(おとなげ)無いと思いますが、明らかなサービスの格差があるのなら、僕ならわざわざタイガーエア台湾便は選ばないし、もし時間が合わないのであれば少し高い運賃を払ってでもユニー航空を選ぶかなと思いました。

もちろんタイガーエア台湾による運航はこの新型コロナ流行が終わり次第なくなるとは思うのですが、ちょっとがっかりしてしまったポイントです。

 

E190は小さいながらも快適なのは間違いありません。ATRよりもシートピッチが1インチ広く、速度も速い。今後まだ乗れる機会があるのなら、ぜひもう一度乗りたいと思う飛行機でした。

2022年までのわずかな時間、興味のある方はお早めにご搭乗くださいね!

 

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