介風見聞錄

台北に暮らす「介(すけ)」のあることないこと。

台湾人の友達を作りたいと言ったあなたへ

介風見聞録にお越しくださり、有り難うございます。介(すけ)です。

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少し昔の話になるのですが、台湾で大学院を卒業し、仕事をし始めた時、ある日本人男性から「台湾人と友達になるにはどうしたらいいか」といった旨のメールをもらったことがありました。正直「(状況が人によって違うので)知らんがな」と思う質問だったのですが、ふと考えてみると、台湾が好きな人、興味のある方なら一度は思ったことのある願いだと思うのと、もし自分だったらどうするかと今でも時折思い出しては考えさせられる記憶に残る質問になっているので、自分なりの考えを書きたいと思います。

【日本人男性からの切実な願い】

メールをいただいたのは2013年ごろだったでしょうか。東日本大震災における台湾の支援を契機に日本で台湾への注目が特に高まった時期です。会社のお問い合わせにメールが届き、台湾人の友人がいる台湾在住日本人ということで僕に回ってきました。

差出人は、どうやら西日本に住む中年の男性。記憶では大阪ではなく、ちょっと距離のある場所だった気がします。台湾にとても興味があり、どうにかして日本語のできる台湾人男性と友達になって認識を深めたいという内容でした。

確かに、日本での日常生活を送っていると、都合よく台湾人と知り合える機会はそうそうあるものではありません。また、学生であれば留学生サークルを通じていくらでも出会う機会がありそうですが、社会人になってしまうと、なかなか簡単にはいかないのも想像できます。

実際、超絶人見知りの僕自身も日本の大学に通っていた頃、台湾人の友人は本当に偶然知り合うことができた留学生3人だけ。それでも、今考えると本当に幸運なことだったと思います。

で、その時に回答した内容は、「突然友達になるというのは難しいから、まず西日本で開かれる台湾グルメフェスや観光関連のイベント、自分の興味のある分野の集まりに足しげく通って、台湾人を見つけて、お知り合いから始めてみてはどうか?」という、ごくごく当たり障りのないもの。差出人がその後になって返信をしてくれたのかは覚えていないのですが、今でもこの人に台湾人の友人ができたのか気になっています。

【自分の立場になって考えてみる】

ただ、メールには書けませんでしたが、僕の率直な感想をいうと、ある日本人が「台湾のことが大好きだから台湾人と友達になりたい」といって台湾人にアプローチした時、その台湾人は反応に戸惑ってしまうのではないのではないでしょうか?なぜなら、僕の経験上、親しくない台湾人から「日本人の友達がほしいから友達になってほしい」といわれて、嬉しいと感じることがとても少ないからです。

いや、もちろん台湾人が日本に興味や好感を持ってくれていることについてはとても嬉しいですし、光栄なことだと思います。ですが、「日本人だから」といって寄ってくる人は、「日本人なら誰でもいい」という考えを持っているように感じてしまいます。

数年前、友人に連れられ、ある集まりに参加した時、全く知らない大学生から、「日本語を学んでいて文化に興味がある。中国語や台湾の文化について教えられるから、日本語や文化を教えてくれないか?」と声をかけられました。

有り難いお誘いではあるのですが、おかげさまで僕は中国語に困っていないですし(特段上手いわけではないですが)、分野によっては台湾人より台湾に詳しかったりして、一丁前に語学力や台湾に関する知識でお金を稼いでいます(雀の涙ですが)。見ず知らずの台湾人に、無償で日本語や日本文化を教える理由がわからず、「僕という人間に興味があるというなら理解できますが、ただ単に学習のため、日本人と知り合いたいためという理由であれば、お断りします」と断ってしまいました。(性格悪いですね)

仮に僕に台湾人の友達が一人もいなかったり、中国語会話の練習相手を探しているというのなら話は別なのですが、そうではない場合、「日本人だから」といった理由で近づいてくる人に、とても申し訳ないのですが魅力を感じませんでした。

逆を言えば、日本で暮らして日本語が話せる台湾人に、面識のない日本人が「日本語や日本文化を教えられるから、台湾のことを教えてほしい」と声をかけることも同じなのではないでしょうか。

日本語学習者の中には、日本のドラマや歌手、文化にとても強い関心がある人たちがいますが、僕はそもそも日本にあまり関心がない人間なので、仮にそんな台湾人と知り合ったとしても共通の話題がなく、友人関係が成り立たないケースが多々有ります。

台湾にいる日本人同士でも、誰とでも友達になれる人はよほど社交的な限られた超人なはずですし、言葉も文化も違う人同士であれば、友人関係に発展する可能性は非常に小さいはずです。

実を言うと僕も、台湾に住む香港人や交通関係の中の人で友達ができたらいいなぁとは思うのですが、実際に知り合って仲良くなれるかは別の話なので、やはりこれもご縁に任せようと思っています。

【全ては縁だけれど、努力すれば近道できるかもとは思う】

友達というのは作りたいから作れるものではなくて、元も子もない言い方ですが、全てはご縁があっての話ですよね。知り合って、そしてお互いがそれなりに努力した上で、ゆっくりと友人関係が構築できるはずです。語学習得のため、理解深化のための手段として友達を作るというのは、なにか間違っている気がしてしまいます。なんなら台湾人の先生が開く中国語教室に通ったり、作家の片倉佳史さんの講演会や勉強会に参加することの方が、収穫が多いと感じます。

逆に中国語がそれなりに話せたり、台湾のことに十分に詳しくなったり、または台湾人が興味を抱くことに熟知していると、そのチャンスはもっと増えるのではないでしょうか?僕も広東語が自在に話せるようになれば、台湾で暮らす香港人とも仲良くなれるきっかけができると思っています。

幸運なことに、僕は少ないながらも濃ゆい関係の台湾と香港の友人に恵まれ、15年以上の付き合いになる人も出てきました。でもそれは、なにか目的があってというよりも、偶然が重なって、ケンカもしながら、いつの間にか大切な関係になっていたので、長いスパンで考えた方がいいのかなと思います。

上から目線になってしまうかもしれませんが、冒頭のメールを差し出してくれた方を含めて、まだ台湾人の友達がいないという人にも、いつか素敵な出会いがあるといいなぁと願っています。

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