介風見聞錄

台北に暮らす「介(すけ)」のあることないこと。

【新竹・新埔】干し柿で有名な客家の街へ日帰り旅行

介風見聞録にお越しいただき、有り難うございます。介(すけ)です。

亜熱帯に属する台湾北部は、一応春夏秋冬の四季があるものの、日本と比べ、春と秋がとても短く感じられます。ただ、今年は秋がとても長く、例年よりも過ごしやすく感じられる日々が続いていました。(12月に入り冬らしくなりましたが)

そんな11月の末に、週末を利用して、新竹県新埔へ日帰り旅行をしてきました。台湾の中でもかなりマイナーな都市なのですが、非常に歴史のある場所なのと、最近インフルエンサーに人気の写真映えスポットがあり、楽しく観光してきました。

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【人口の約9割が客家人ののどかな街】

今回訪れた新竹県新埔。正直言って、今回訪問が決まるまで僕も全く知らない場所でした。というのも、鉄道や高速道路が通っていないのと、新埔という地名は実は台湾全土に結構よくある名前だったからです。

新埔鎮公所のウェブサイトを見ると元々は「吧哩嘓」と呼ばれ、平埔族が暮らしていた場所で、1784年頃に漢人が移住したそう。ただ、その直後の1786年には清朝統治に反対する彰化の閩南人・林爽文を中心とした反乱軍と清朝の間で争いが起き(林爽文事件)、清朝側に立った新埔を含む桃園・新竹・苗栗の客家人は義民軍と呼ばれる義勇軍を組織し抵抗したそう。最終的には清朝側の勝利で終結するのですが、その後戦死した勇士たちを祭る義勇廟(当時の名称は集義亭)が新埔に建立されると、新竹一帯の客家人の信仰の中心として発展。さらに茶葉や樟脳、サトウキビの生産でも栄え、かつては竹塹と呼ばれた新竹中心部と遜色ない都市の規模だったと言われているんだとか。

現在では農業が盛んで、夏に梨、冬にミカン、秋に干し柿が収穫・生産されています。特に干し柿は九降風と呼ばれる新竹名物の秋から冬の季節風と好天に恵まれた地理的条件から多く生産されていて、干し柿農園で行われる天日干しの様子が写真映えするということで近年特に大きな注目を集めています。

【まずは老街で客家料理をいただきます】

友人が運転する車で台北を10時30分に出発。週末の午前ということで高速道路が少々渋滞したものの、12時15分頃に新埔に到着しました。

今回訪れたのは老街(オールドストリート)の一つ、和平街の近くにある「聞香來小館」という客家料理レストラン。「粄條」と呼ばれるきしめんのような麺の焼きそば、茹でた豚の腸に大量の生姜とお酢を絡めた「薑絲大腸」、豆干にセロリ、イカなどを甘辛く炒めた「客家小炒」、からし菜を乾燥させた梅干菜と豚の角煮を合わせた「梅干扣肉」などなど、客家料理の定番メニューをいただきました。台北は意外と客家料理が食べられるレストランが多くないんですよね。なのでこういった代表的な料理があるだけで嬉しかったりします。

聞香來客家美食小館

新竹縣新埔鎮廣和路21號

(03)588-1998

月・火曜定休

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【趣ある老街をお散歩】

新埔を街歩きする時のメインストリートは和平街と成功街。和平街には伝統市場のほか、潘屋という地元の名主・潘家の三合院が非常に綺麗な状態で保存されているほか、家廟と呼ばれる大家族によって建立された私廟がいくつも残り、一目で清朝時代の建物が現存しているのが印象的で歴史を感じられます。これらの建物には今でも人が暮らしていて、一般への開放もなし。外観を覗かせていただく形になるのですが、伝統家屋が本来の形で使われ続けていることこそが本来あるべき姿なのかもしれません。

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伝統市場には、木の繊維で作った枕や椅子、籠など、なんとなく懐かしいグッズを売る雑貨屋さんや鮮やかな台湾フルーツを売る屋台、凄く古めかしいけど常連客で賑わう食堂など、薄暗いですがとても活気がありました。地方都市ならではの生活感溢れる光景が広がっていてとてもよかったです。

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バス通りの中正路にある老舗中華菓子屋さん兼パン屋さんの「呂順興餅店」にも足を運びました。「炸蛋麵包」(爆弾パン)と呼ばれるレモンのような形状の台湾独特のパンがあったり、タロイモやカボチャのお饅頭があったりと、昔懐かしい台湾のパンや中華菓子が売っているお店。観光客だけでなく地元の人も買い付けに来ていました。一緒に行った先輩はタロイモ饅頭をお土産にと購入していましたよ。

呂順興餅店

新竹縣新埔鎮中正路312號

(03)588-2232

6:30~22:30(日曜〜21:00)

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日本統治時代に新埔公学校だった新埔國小の横には、歴代の校長とその家族が暮らしたという日本家屋の校長宿舎が修復された上で残されていて、展示や交流イベントを行う多目的施設として利用されていました。まぁ、率直な感想を言うと、この手の宿舎は台湾全土にあって、造りもだいたい一緒。ですが、この地にも日本統治時代があったことを物語る大切な歴史的資産。保存、活用に尽力してくださった方々に敬意を払って参観することが大切なのかなぁと思っています。

新埔鎮宗祠客家文化導覽館

新竹縣新埔鎮中正路366號

(03)588-3909

8:30~16:30

日曜定休

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その裏手にあるのが、前述の林爽文事件の後に建立された義勇廟。裏山を少し登ったところにあるのでてっきり日本統治時代の神社後なのかなと思ったのですが、それよりも遥か前から存在していた名勝だったのでした。

義勇廟

新竹縣新埔鎮中正路776號

(03)588-1311

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もう一つの老街である成功街にも古い家屋がたくさんありました。そこで訪れたのは、日本統治時代から三代に渡って続く創業100年のアイスキャンディー屋さん「義順製冰廠」。たくさんのフレーバーがあるのですが、こちらの名物は新埔名産のキンカンアイス。

僕たちが訪れた際にもお店の傍で収穫されたキンカンの皮を剥く作業が行われていて店頭には爽やかな柑橘類の香りが漂っていました。

お値段はなんと破格の12元。

ほどよく甘くてえぐ味はなく、すっきりとした味を楽しみました。

義順製冰廠

新竹縣新埔鎮成功街99號

(03)588-2143

6:30~20:00

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【お待ちかねの干し柿観光工場】

そして新埔の老街から車で約5分にあるのが「味衛佳柿餅觀光農場」という干し柿の観光工場。徒歩でも山道を登りながら20〜30分で来れるみたいです。

僕たちが訪れたのは午後3時前の最混雑時間帯。駐車場もかなりの台数が停められるようになっていたのですが、10分ほど待ちました。観光バスで乗り付ける団体客も結構いて、老街よりも賑やか。柿や農産物を売る屋台もあり、まるで日本のお祭りのような感じでした。

観光農場といっても、敷地内には伝統家屋の三合院が鎮座していて、地方のちょっと規模の大きい農家にお邪魔したような感じ。ただ、一面に柿が天日干しされていて、本当に圧巻。どこでカメラを構えてもいい写真が撮れるといっても過言ではありません。

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ただ、かなりごった返しているので、ベストショットを撮ろうとすると色々大変かもしれません。おすすめは午前中の人が少ない時間帯だとか。

それでも、大量の柿に囲まれる不思議な空間で、加工している様子が間近に見らるのは、非日常でちょっとワクワクします。

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で、干し柿をいただきました。実は日本でも干し柿を食べた記憶がなく、日本との比較ができないのですが、「干し」と言っても半生なんですね。少し冷やされていて、まず一噛みすると大福に包まれた羊羹のような食感。それでいてさらに噛んでみると果肉がシャリシャリしていて面白いんです。台湾茶と合わせたら凄くおいしんだろうなぁと感じましたよ。客家人の友人は、柿のアイスキャンディーが美味しいんだよとオススメしてくれたのですが、その時僕はすでに台北への帰路についた頃。次回チャレンジしたいと思います。

あ、で、工場ではあったかい柿のお茶も振舞われていました。これまたほのかに柿の味がして美味。柿好きにはたまらない場所かもしれません。

味衛佳柿餅觀光農場

新竹縣新埔鎮旱坑路一段283巷53號

(03)589-2352

8:00~18:00(9月〜12月ごろの季節限定)

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【客家文化といえば擂茶も忘れてはいけません】

最後に訪れたのは、新埔老街から車で15分ほど、九芎湖と呼ばれる場所にある陳家休閒農場。客家名物の擂茶をいただきます。

擂茶の極意は自分でピーナツやゴマ、茶葉、砂糖などの材料をすり鉢で擦ること。顆粒のものがなくなり、油が出てペースト状になるまで擦るのですが、結構な重労働。以前某有名ブロガーに誘われ、一人で擦りすりしていたら、汗だくになり、30分近くかかりました。

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今回は友人らと分担したので割と早くできたのですが、それでも20分くらいかかったかと。普通のお茶よりも香ばしく、飲むスイーツのような感じ。お腹も適度に満たされます。

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こちらもグループで行ったらワイワイ楽しくお茶ができますよ〜。

陳家休閒農場

新竹縣新埔鎮照門里九芎湖6鄰29號

(03)589-0034

9:00~17:00(土日曜〜18:00)

 

新埔は新竹県北埔や苗栗県南庄と比べてかなり控えめな客家の街だったのですが、のどかさや落ち着きがあり、とても心地のいい旅ができました。

実は高鉄の新竹駅から近くてタクシーなら約20〜30分で到着できる距離。路線バスだと、新竹駅を起点に、途中竹北駅を経由する新竹客運の5619番バスで約40分。竹北駅からなら5621番バスも利用できて約20分で来られるみたいです。

干し柿の天日干しが見られるのは12月末まで。日帰り旅行をぜひ楽しんでくださいね〜。

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【カルチャーショック】「金門に行ったことがないと、台湾に行ったこととは言えません」と感じた金門旅行

介風見聞録にお越しいただき、有り難うございます。介(すけ)です。

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11月6日から8日にかけて台湾の離島、金門に行ってきました。台湾で暮らして16年目になるのですが、金門を訪れたのは実は初めて。わずか2泊3日の短い旅ながらも、非常に強烈なカルチャーショックを受けて帰って来ました。台南駅の地下道に「台南に行ったことがないと、台湾に行ったこととは言えません」と日本語で書かれた観光PRポスターがあるのですが、ぶっちゃけ「金門に行ったことがないと、台湾に行ったこととは言えません」と思える旅になったので、そのカルチャーショックを受けた点を記して、ぜひ皆さんにも金門の旅に出かけてもらいたいと思います。

【土が赤い。空港を出てすぐに僕の知らない世界が広がっていた】

金門までは台北松山空港から国内線に乗って50分。移動については前回のブログをご参照ください。

kennethqi.hatenablog.com

金門空港でスクーターを借りて民宿に出発。幹線道路に出たところですぐに台湾本島との違いを感じ取りました。それは、土が赤いのと、ベージュの岩肌が露出した場所が多いということ。地形がすでに違い、なんとなく、僕の想像上の中国大陸に近いものがありました。畑は基本的に高粱が植えられていたほか、放牧されている牛たちもたくさん目にとまりました。さらに、赤レンガで造られた四合院の民家で形成されている集落群。極め付けは、現在もしっかりと対岸に睨みを利かせている軍施設。台湾本島では見慣れないものばかりで、目から入る新しい情報量の多さに圧倒されてしまいました。

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同じ離島である澎湖にはこれまでに2度、足を運んでいます。塩害により稲作が向かない土地柄なのは金門と一緒ですが、澎湖のホテルで働く人の話によると、それでも野菜が多少なりとも栽培されているんだとか。また、伝統建築も台湾本島とは様式が若干異なるのですが、すでに数が少なく、民家を始めとする今時の建物はほぼほぼ台湾本島と変わらないんです。

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金門の独自性を見ると、やはりここが中華民国の中の福建省であることを思い知らされます。そう、今では本島に暮らす台湾人はほとんど意識していないことだと思うのですが、金門と馬祖は中華民国の中でも福建省に属していて、日本統治時代を体験していない場所であるんです。現在では中華民国の福建省は凍結されているものの、裁判所の名称などに「福建省」の文字が今でも残されていて、知識としては以前からあったものの、実際に看板を目にすると、感慨深いものがありました。

【超繁栄しているアモイが目と鼻の先に見えた】

2日目には金門島の水頭港からフェリーに乗り、約10分離れた烈嶼(通称:小金門)へ。島の北側から北西側にかけては中国アモイ市に向かい合う場所で、直線距離はわずか5キロ。北京から遠く離れたこのアモイでも超高層ビルがいくつもそびえ立つ様子は、中国の国力を物語っているようで正直言って恐怖すら感じるほど。

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それとは対照的に、金門では伝統家屋で構成された集落がたくさん。それはとても美しい風景なのですが、対岸には近代的で先進的な、中国でもトップ20前後の規模の大都市が広がっている。こんな状況では否が応でも違いを実感してしまいます。もちろん、アモイの発展と金門ののどかさのどちらがいいというわけではないのですが、金門から船で30分の場所にあるアモイは、台北よりも身近に感じる人が多いのではないかと勝手ながらに想像してしまいました。台北に暮らす僕は、中国は別の国だし、近くて遠いイメージばかりを抱いていたのですが、目と鼻の先のアモイを見て、それがガラガラを音を立てて崩れていったのでした。

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【台湾本島との歴史と文化がそもそも違う】

金門の観光スポットを回って歴史を知り、日本統治時代を経験していないことや国共内戦時に中共軍が上陸して地上戦が行われたことなどを改めて目の当たりにすると、僕の知っている台湾に関する知識がほぼほぼ通用しないことに気づきました。

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台湾に来てからというもの、台湾に関することを学んで、自分なりに吸収してきたつもりでいたのですが、金門という地域はすっかり抜け落ちていたと、自分の弱い部分が浮き彫りになった気がします。

台湾はざっくりとおおまかに分別すれば、地域性では北部、中部、南部の「西半部」、と東部の「東半部」、そしてエスニックグループでは、本省人(閩南人と客家人)、外省人、原住民、平埔族、新住民で歴史や文化の違いがあるわけですが、このほかに、金門と金門人、さらに馬祖の違いが加わるのかもしれません。 

 

民主化が進んでから「台湾意識」というアイデンティティが芽生えて久しい台湾。本島とは遠く離れた金門の人々はどのようなアイデンティティを抱いているのか、本島の日本統治時代や戦後の二二八事件、白色テロに関する歴史認識やそれに対する感情はどうなのか、今後機会があれば、より一層深く調べてみる必要があるのかなと思いました。

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22県市ある台湾で最後の未踏の地となった馬祖にも必ず近いうちに足を運んで、まだ見ぬ台湾の姿を見られたらいいなと感じました。

「金門に行ったことがないと、台湾に行ったこととは言えません」。

実際金門に住む人は6〜8万人と言われ、2300万人の台湾の総人口からしてみるとごくごく少数派。それでも、金門の人々もれっきとした台湾を構成する人々の一部。驚きと発見があると思うので、台湾リピーターの方で、まだ行かれてない方は、是非とも足を運んでもらいたいなと思いました。

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【マンダリン航空】台北松山→金門尚義 E190型機搭乗記【引退決定】

介風見聞録にお越しいただき、有り難うございます。介(すけ)です。

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先日、初めて金門に遊びに行ってきました。2泊3日だったのですが、それはそれは大きなカルチャーショックを受けた旅になりまして、そのことについても今後書き記したいのですが、今回は行きと帰りの飛行機の話です。

交通オタクの僕からすると、目的地とを往復する移動手段も旅行の大きな目的の一つ。特に往路の飛行機はエンブラエル190型機というもので、多分最初で最後の搭乗になると思うのでここに記録したいと思います。また、復路は再びタイガーエア台湾便に搭乗したので、往路との比較を記します。

【目的は引退が決まった国内線の主力機・エンブラエル190型機】

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そうです。今回の目的はマンダリン(華信)航空が運航するこのエンブラエル190型機(ERJ190またはE190)に乗ること。2007年に導入され、国内線の主力機として運航されてきたほか、高雄−香港線、台中−成田線の国際線にも投入されていました。

ブラジル・エンブラエル製の旅客機で104人乗り。シート配列は2−2でシートピッチは31インチ。巡航速度は890キロ。台湾ではマンダリン航空だけが導入していました。日本ではJALグループが2008年にE190より少し小型のE170を、2016年にE190を導入。フジドリームエアラインズは2010年からE170とE175を運航していて、割と使い勝手は良さそうなのですが、運航距離が短く、離着陸の回数が多くなる台湾の国内線では、オーバースペックでコストがかかり過ぎたようで、2017年にはやはり旧型のジェット機MD82/83型機を運航していた当時のファーイースタン(遠東)航空と競うようにターボプロップ機のATR42-600型機を導入し、将来的に国内線の主役の座はATRに任せるという計画が立てられました。(ただ、ファーイースタンは当時、保有するMDが機齢25年を超えたために仕方なくATRを導入した経緯があるのですが)

ATR42-600型機は競合するユニー(立栄)航空や2016年に解散したトランスアジア(復興)航空も主力として運用していて、現在台湾の空はATRが担っているといってもいいでしょう。巡航速度は551キロ。シートピッチは30インチ。座席数は70席。E190と比較すると格段にレベルダウンしている訳ですが、現在の台湾の航空需要というのはこういうものなのでしょうね。

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で、そんな中今年9月に飛び込んできたのが中央社のニュース。それによると、その時点でマンダリン航空は6機のE190をリース運航していたのですが、10月から毎年2機のペースで退役させ、3年以内に全機を引退させる計画をマンダリン航空が発表したというのです。ちなみにこれまでE190が担っていた国際線運航については、チャイナエアラインが導入するエアバスA321neoと共有するとのこと。

兎にも角にも、導入からわずか16年での引退が決まったということであれば早く乗らなければ機会はどんどん減ってしまう訳で、今回の金門旅行では必ずE190に乗ろうと決心したのでした。

しかし、新型コロナウイルスの防疫に成功した台湾では、国内旅行が大ブーム。11月は通常閑散期にあたるはずなのですが、航空需要は絶賛高止まっていたようで、僕が選んだ日は座席数の多いエアバスA320で運航するタイガーエア台湾の応援便がたくさん。逆にE190の便はごくわずか。しかも運賃も微妙に高かったのですが、同行する友人に事情を説明して往路のみですがやっとこさE190の便を確保しました。

ちなみに、澎湖から台湾本島に戻る際に搭乗したタイガーエア台湾エアバスA320の搭乗記は下記リンクからご覧ください〜。

kennethqi.hatenablog.com

【想像していたよりも小さいけれど快適な機内】

前置きが非常に長くなってしまいましたが、ここからが本題。当日は友人との待ち合わせの時間よりも30分早く松山空港に到着して展望台で飛行機ウォッチング。ここの展望台は国内線のエプロンに面していてコロナ禍でも賑わっています。

で、いましたいました。目的のE190。シュッとしていて鼻が長くてスマートな飛行機なんですよ。ボテッとしているATRも可愛いといえば可愛いのですが、お洒落な飛行機はやはり魅力的です。

ただ、実際に搭乗してみて感じたのは、想像よりも天井が低いかなという印象。「ATRはそもそもが小型の機体なので窮屈に感じるのは当たり前、逆にE190は客室の下に貨物室があるし、もうちょっと高さに余裕があるのでは」と勝手に思っていたのですが、実際にはATRと同じくらいの圧迫感がありました。前方では荷物入れに頭をぶつける男性もいたくらいなので、やっぱり機体が小さいのかもしれません。とはいうものの、シートピッチ31インチはとても快適。座ってしまえば、天井の低さは全く気になりませんでした。

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キーンとちょっと高めのエンジン音を響かせながら台北松山空港を離陸。一定の高度に達すると、耳をつんざく騒音はなくなり、快適な空の旅が始まりました。

ただ、ちょうどこの日は台湾南部沖を台風が通過した関係で、一度シートベルトのサインが消えたものの、程なくして再び点灯し、3人いた客室乗務員さんが着席する場面も。しかしながら実際には大きな揺れはなく、台中を少し過ぎたあたりからから機内サービスが始まりました。

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ドリンクのサービスで、ホットコーヒー、ホットウーロン茶、オレンジジュース、ミネラルウォーターから選べました。僕はホットコーヒーをチョイス。飲み慣れているキャセイのコーヒーと比べると苦味が少なく、台湾人の好みに合わせた飲みやすいコーヒーなのかなと思いました。

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僕の左前方にいたご婦人は喉が渇いていたのか、2回もドリンクをお代わり。それでも客室乗務員さんはしっかり対応していたので、台北−金門線は比較的サービスに余裕がありそうです。

さらに機内販売も実施。マンダリン航空オリジナル商品の詰め合わせなどをカゴに入れて販売していました。この感じではコロナ発生前のサービスに戻っているようです。

台北から金門までの飛行時間は50分。実際にはもう少し早く到着していたかもしれません。ドリンクを回収し終わるとすぐに着陸態勢に入りました。着陸も非常にスムーズ。本当にあっという間に金門に到着してしまいました。

E190はボーディングブリッジが利用できるのもメリットの一つ。階段の乗り降りや雨に濡れる可能性を避けられるのは、ATRに比べてわざわざ選ぶ価値のある機体なのかなとも思いました。

【比べてわかるタイガーエア台湾機とのサービスの落差】

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さて、復路は前述のようにタイガーエア台湾の運航による応援便。座席に着席してすぐ気付いたのが、シートピッチの狭さ。以前のブログにも書きましたが、タイガーエア台湾のエアバスA320はシートピッチが28インチで、E190の31インチよりなんと3インチも狭いんです。3インチ=7.62センチです。僕は台湾人と比べると圧倒的な足の短さなのですが、それでもわかる窮屈さ。天井はそれなりに高いですが、逆に着席してしまえば、狭さが際立つものです。

さらにドリンクサービスは烏梅汁と呼ばれる梅ジュースの一択のみ。4種類の選択肢があったマンダリン航空便とは大きな違いです。そして機内販売もなかったほか、往路ではシートポケットに入っていた機内誌や免税品のカタログはなく、機体前方のマガジンラックに機内誌だけがまとめて置かれているだけでした。気づかないと読めないのはやはり不便。僕、機内誌も毎回楽しみに読むのですが、気軽に読めないのはとても残念でした。

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たった50分〜1時間のフライト時間で文句を言うのも大人気(おとなげ)無いと思いますが、明らかなサービスの格差があるのなら、僕ならわざわざタイガーエア台湾便は選ばないし、もし時間が合わないのであれば少し高い運賃を払ってでもユニー航空を選ぶかなと思いました。

もちろんタイガーエア台湾による運航はこの新型コロナ流行が終わり次第なくなるとは思うのですが、ちょっとがっかりしてしまったポイントです。

 

E190は小さいながらも快適なのは間違いありません。ATRよりもシートピッチが1インチ広く、速度も速い。今後まだ乗れる機会があるのなら、ぜひもう一度乗りたいと思う飛行機でした。

2022年までのわずかな時間、興味のある方はお早めにご搭乗くださいね!

 

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《出発2時間前に起床》海外旅行の朝に寝坊しても諦めないで!

介風見聞録にお越しいただき、有り難うございます。介(すけ)です。

コロナ禍で海外旅行ができなくなって久しいですが、ふと先日、ちょうど1年前の香港・マカオ旅行で、出発当日の朝に過去最大級の寝坊をする大失態をしでかしたことを思い出しました。結果からいうとギリギリで間に合ったのですが、自省の意味と、寝坊しても諦めなければ、場合によってはなんとかなるということをお伝えしたく、顛末をしたためたいと思います。

【起きたら出発まで2時間を切っていた】

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ことは2019年11月15日に起きました。予約していたのは台湾桃園空港を9時05分に出発するCX403便。僕の住む台北市文山区から空港へは、MRTと高速バスを乗り継ぎ、おおよそ2時間かかります。これまでの経験から逆算して、5時30分に起きれば間に合うと思って、携帯のアラームをセットして就寝したのですが、自然に目覚めて嫌な予感がしたので時刻を確認すると……まさかの7時16分。

 

「終わった……\(^o^)/

 

半ばパニックになりながらもどうしようと頭をフル回転。前日の夜に荷造りとオンラインチェックインを済ませており、過去の経験上、チェックインカウンターで荷物を預けてから搭乗口まで大体20分で行けていたことから、それまでに間に合えばなんとかなると思い、駄目元でもタクシーに乗ってみようと着のみ着のままで自宅を出ました。

家の前は幹線道路の交差点。流しのタクシーに乗ろうと思ったのですが、こんな日に限ってつかまらない。なのでアプリで直接呼ぶことに。焦りで指が震えながらも現在地と目的地の設定をすると、幸運にもわずか5分で来てくれました。

「麻煩,請到桃園機場第一航廈!謝謝!(桃園空港第1ターミナルまでお願いします)」

乗車記録を見ると、乗車時間は7時33分。本来の予定ではすでに預け入れ手荷物を預けて、搭乗口に向かっている時間です。車内でグーグルマップを開くと、高速道路の入り口で若干の混雑が予想されるものの、55分で到着するとの情報。突発的な事故で通行止めにならないことを祈り続けていました。おかげさまで順調に流れる車窓。そして、空港に乗り入れる国道2号線に入った時、運転手さんがこう言いました。

運「你要搭哪一家航空公司?(乗る予定のエアラインはどこ?)」

我「國泰!(キャセイです)」

運「喔,那就最後面的吼。(じゃあ一番奥だね)」

嬉しいことに運転手さんがキャセイのカウンターの位置をしっかりと把握してくれていて、迷わずカウンター前で降ろしてくれました。料金は1,340元。アプリに登録していたカードで支払います。その時財布の中に現金がいくら入っていたのか覚えていないのですが、仮に手持ちがなかったと思うとゾッとします。台湾のクレカを持っていて改めて良かったと思った瞬間です。

時刻は8時22分。離陸まで40分。すでにチェックインを済ませているものの、荷物を預けなければいけないのでカウンターに向かいます。

カウンターのお姐さま「到哪裡呢?(どちらまでご出発ですか?)」

我「9點往香港的班機!還來得及嗎?(9時の香港行きです。まだ間に合いますか?)」

姐「沒問題。慢慢來。(大丈夫。ゆっくりで構わないですよ)」

 

……優勝です┗( ・´ー・`)┛(コロンビア)

 

天は僕に味方してくれました。その後、手荷物検査から出国手続き、搭乗口まで20分で駆け抜け、無事、ドアクローズまでに搭乗完了。しかも台湾銀行で両替をする時間もありました。本当に有り難うございます。

【寝坊しても飛行機に乗るために】

さて、そんなこんなで無事飛行機に乗れた訳ですが、振り返ってみると、有利に働いた点がいくつかあったので整理しておきます。

1:荷造りを前日に済ませておいた

出発当日に荷造りをする人はあまりいないと思いますが、この時は前日に完全に済ませていて、朝は携帯だけ忘れなければ問題無い状態にしていました。瞬時に出掛けられる準備が整っていたのが奏功していたと思います。

2:タクシーアプリを使い慣れていた

台北市内に住んでいると、例え文山区であっても、いつでも流しのタクシーが拾えるイメージがありましたが、結局つかまりませんでした。利用したのは「台灣大車隊」のアプリ。操作方法にも慣れていたので最短で呼べたのだと思います。

3:レガシーキャリアのマイレージ会員で優先チェックインができた

これも大きかったポイントだと思います。LCCだったらカウンターが早々にクローズして無理だったでしょうし、レガシーキャリアでも会員でなければ並ぶ必要があり、間に合っていたかどうか分かりません。ただ、オンラインチェックインをして、預け入れ手荷物を諦めれば、会員でなくても搭乗口までは行けるかもしれません。試すつもりはありませんが。

4:自動化ゲートの登録をしておけばちょっとだけ余裕ができる

「個人情報の流出が怖いからといって登録したがらない人が多いみたい」(成田空港の係員さん談)という自動化ゲート。繁忙期ではない出国時にはあまり大きな時間短縮にはなりませんが、有人窓口が混雑している時にはやはり便利ですし、少しだけ心の余裕ができるはずです。登録できるのであればしておくことに越したことはありません。ちなみに、香港の航空会社のマイレージ会員であれば、香港の自動化ゲートが利用可能です。僕は「日本人」で「台湾在住」そして「キャセイのマルコポーロ会員」なので、日本、台湾、香港で自動化ゲートが利用でき、有効活用させてもらっています。

 

 偉そうに書いていますが、結局は寝坊しないことが一番。次はいつ海外旅行できるのか全く不透明ですが、次に早朝便に乗る時は、寝ないでそのまま出かけようと心に決めました。ただ、絶対に寝坊しないとは言い切れないのが怖いところ。でも、諦めたらそこで試合は終了してしまいます。乗り遅れるのは万策を尽くしてからにしようと思いました。

皆さんも、例え朝寝坊したとしても諦めないでくださいね!!

【2020台湾LGBTパレード】13万人が参加 3時間かけてお散歩してみた

介風見聞録にお越しいただき、有り難うございます。介(すけ)です。

毎年恒例の台灣同志遊行(台湾LGBTパレード)が10月31日に行われました。僕もお散歩がてら隊列に参加してきましたので、その模様をお伝えします。

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【今年で18回目 アジア最大級のLGBTパレードです】

アジアで初めて同性婚が認められた台湾。27日には台北市がLGBTなどのセクシャルマイノリティを支援する都市で組織される「レインボー・シティーズ・ネットワーク」にアジアで初めて加入したというニュースもありました。誰もが暮らしやすく、活躍できる社会を目指すダイバーシティへの取り組みが着実に進んでいます。

台北で行われるパレードは今回で18回目。台湾最大なだけでなく、アジアでも最大級のLGBTとして知られ、例年では台湾国内に限らず日本を筆頭に世界各地からも多くの参加者・観光客が詰め掛けます。今年はコロナの影響で海外からの参加者はほぼ皆無となってしまったものの、主催者発表では13万人が参加したということで、例年並みの盛り上がりとなりました。

パレードの路線は数年前まで総統府前のケタガラン大通りから西門、台北駅を通るルートが多かったのですが、昨年は信義エリアの台北市政府前から台北市を東西に貫く忠孝東路を通ってケタガラン大通りまでのルートとなり、今回は台北市政府前から仁愛路を西進し、敦化南路のある仁愛圓環(ロータリー)で南北の各ルートに分岐し、北ルートは忠孝東路、南ルートは信義路をそれぞれ東進し、市政府前へ戻るルートが設定されました。

【レインボーマーケットや舞台パフォーマンスもぜひ見て行って!】

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パレード自体は14時からの出発となりますが、起点と終点となる市政府前では11時からレンボーマーケットが開かれ、協賛企業やLGBTフレンドリーのアーティスト・ショップなどがブースを開き、関連グッズの販売や情報提供などを行っています。

今年はデリバリーサービスを提供するドイツ企業「フードパンダ」が妙に目に留まったのと、レズビアン向け出会い系アプリの旗をよく見たかなと思います。しかしながらパレード開始直前の13時30分ごろは大混雑の夜市さながら牛歩で進むことも困難となる盛況ぶりだったので、しっかりと見学したい方は早めの行動をお勧めします。

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中央のステージでは随時パフォーマンスが行われていて、会場を盛り上げています。LGBTの支援団体や政治家、当事者、そしてその家族たちの話なども聞いているとたくさんの人たちの尽力や協力、支援があって獲得・実現できた権利と利益なのだなぁと感動します。

特筆すべきなのは女性の地位向上や都市と地方の格差是正、香港問題の解決などを目指す人権団体の参加。LGBT問題の根本は基本的人権の尊重であるわけで、LGBTを専門に扱う団体でなくても、LGBTの支援を自然と行っているこれらの団体の取り組みは素晴らしいなぁと思います。実際、台湾で同性婚が実現した背景には白色テロで迫害された人たちの人権問題を長らく扱ってきた土壌があるから。同性婚実現の際に日本語で出された関連記事や解説をいくつか見ましたが、台湾では早期からLGBTへの理解が広まってきたという記述はあるものの、なぜその理解が広まったのかに対する言及が少なく、この点をぜひ多くの日本人にも理解してほしいなぁと密かに願っています。

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ノリが良過ぎる大好きな後輩


ちなみに、今年総合司会の一人を務めた宜蘭さんは、実は僕の大学院時代の後輩。ドスの効いたよく響く声とユーモアのある喋り方に定評があり、数年前から台北に限らず台湾各地で開かれているLGBTパレードの司会を務めていて、イベント直前にはフェイスブックに「旦那と子供をほっぽり投げてきて清々しいわ!」とコメント。今年もパワフルに現場を仕切ってくれていました。

もう一人の夏立民さんもLGBT界隈では有名な知識人で、ご本人もかなり早い時期に同性パートナーとご結婚されています。そして客家人であり客家語にも堪能。2018年に統一地方選挙に合わせて行われた住民投票で性の多様性に関するテーマを含む性教育の強化の是非を問うた際、国民討論会で推進派の代表として客家語を交えてコメントしていたのは記憶に新しいところ。

というわけで、パレード以外にも注目すると、台湾社会のLGBTが置かれている現状、それに対する取り組みなどへの理解が深められると思います。

【暖かい声援と理解の伝播が楽しいパレード】

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LGBTパレードの参加するのは、LGBT当事者だけではありません。当事者のお友達だったり、サークルの仲間だったり、純粋に支援しているだけの人たちだったり、一般人がたくさんいるんです。お父さんお母さんが子供を引き連れてご家族で参加しているのも今ではかなり見慣れた光景になりました。

今回目についたのは、LGBTの当事者が親御さんとみられる人を連れて参加していたグループを何組か見かけたこと。家庭内でもオープンな気風が広がっているんだなぁと思わせる瞬間でした。

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分岐点では北ルートを選択。忠孝東路の忠孝敦化駅から國父紀念館駅までの間は台北を代表する繁華街の一つ。週末のショッピングや食事を楽しむ人たちで賑わう場所を練り歩くとかなり注目を浴びるのですが、基本的には歓迎ムード一色。

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雑居ビル2階のレストランでお食事していたとみられるご婦人グループから窓越しに手を振られ、暖かい気持ちになりました。パレードの実施を知らずたまたま居合わせた人たちがほとんどだと思いますが、理解が広がっていることを実感できる感動的な場面でもあります。

今回のパレードでは途中、台北市を南北に縦断する光復南路と安和路という幹線道路を横断するため、信号待ちで頻繁に足止めを喰らいました。総統府周辺でパレードしていた時はあまり足止めするということはなかったのですが、それゆえ団子状態になって混雑が助長されている印象を受けました。結局3時間かけて全行程を踏破。後になって先頭集団にいた友人に話を聞くと、1時間30分で帰ってこれたというので、頑張って先頭を目指した方が疲労感は少ないかもしれません。

 

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台湾のLGBTパレードは、台北だけでなく、台中、台南、高雄、花蓮、珍しいところでは苗栗などでも行われていて、LGBT関連イベントではほぼ全国の自治体で実施されています。とても身近な存在になりつつある台湾のLGBT。同性間の国際結婚は、相互互恵の観点から外国人側の国も同性婚を認めていないといけないということで、日本を含む多くの国の人たちが、台湾人パートナーと結婚とできなかったり、やはり存在する差別をいかに解決するかなど、まだまだ問題は山積していますが、もっともっと暮らしやすい社会が実現できればいいなぁと思います。

来年の話をすると鬼に笑われてしまいますが、来年もぜひ参加してみたいなぁと思ったのでした。

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【梁社漢排骨】最近破竹の勢いで積極展開している排骨飯レストラン

介風見聞録にお越しいただき、有り難うございます。介(すけ)です。

なんだか最近「梁社漢排骨」というお店が急速に増えていて、僕の住む文山区にも店舗ができたので早速試してみました。

【マカオ出身のシェフが手がけた排骨飯のお店】

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排骨飯といえば、最近は日本でもパイコー飯という名称で広まっていますが、豚スペアリブをご飯にのせた、台湾を代表する料理の一つ。台湾鉄道が販売している弁当が有名ですよね。

で、この「梁社漢排骨」とは何者なのか。そもそも「梁社漢」とは誰なのか。オフィシャルサイトで調べてみると、この梁社漢はマカオ出身の有名シェフなんだそう。台湾人の奥様をもち、かつてはシェラトン(喜來登飯店)やパレ・デ・シン・ホテル(台北君品酒店)、フロー・デ・シン・ホテル(雲品溫泉酒店)など高級ホテルのメインシェフとしても活躍していたんだとか。そして、2016年と19年には「両岸十大名廚」の一人に輝いているらしいのです。

なので梁社漢排骨のウリは、「台湾の伝統料理と広東料理のテクニックの融合」なんだとか。

ちなみにこの「両岸十大名廚」とはなんぞや?と思って調べたところ、中華兩岸海峽餐飲連鎖經營協會という団体が主催している兩岸美食文化交流論壇というフォーラムで選出された台湾と中国で秀でたシェフ10人のこと。ただ、このフォーラムが結構謎で、2019年の時点で第9回目の開催となるのですが、関連のニュース記事は出てくるものの、オフィシャルが発表したと思われるニュースリリースをそのまま転載している内容なほか、このフォーラムや主催協会のウェブサイトなども見つからず、どこまで権威のあるものなのかはぶっちゃけよくわかりません。

ただ、このお店、餃子チェーンの「八方雲集」が経営しているお店なんです。中国時報の報道によると、現在台北から高雄まで西部に59店舗展開しているんだとか。八方雲集は全国に990店舗もあるそうなので、この経営ノウハウを生かしていると考えれば、急速な店舗拡大も納得がいきます。蛇足ですが、朝ごはん屋さんの「麥味登」もこの八方雲集グループなんだそうです。

【ファーストフードのような明るく清潔なお店】

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普段排骨飯は個人経営のなんの変哲も無い食堂で食べることが多いので、店構えや内装なんて気にしたことはなかったのですが、梁社漢は白を基調にしていて、とにかく明るい印象でした。午後6時30分ごろのご飯時に行ったのですが、ほぼ満席でテイクアウトもそれなりに盛況。今回はテイクアウトにしました。

注文は有人レジ1台のほか、マックやモスバーガーなどで目にする液晶タッチパネルも数台設置。クレカ以外にLINEpayや悠遊卡での決済が可能でした。

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メニューなのですが、看板商品の排骨飯はタレに漬けて揚げた「炸排骨」と、タレで煮込んだ「滷排骨」が選べます。こちらは個人の好みなのですが、今回は「炸排骨」をチョイス。ご飯ではなくて、「黃麵」と呼ばれる油そばのような麺に変更することもできます。

で、肝心のお値段は110元!

結構いいお値段です。台鉄弁当の排骨飯は一番安くて60元、一番人気が80元だというので、強気の値段設定と言えるのではないでしょうか。物価の上昇で、近年は一食100元を超えるお弁当は少なくないですが、個人的にはかなり勇気のいるお値段であります。

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そのほかのメニューは角煮の焢肉飯は65元、塩胡椒で味をつけたフライドクリスピーチキンの椒鹽雞塊飯は80元、紅麹で味と色をつけた豚の焼肉の炸紅槽肉飯は90元なので、選択肢は豊富です。味噌汁は特別価格15元。今回は頼みませんでしたが、次ぎは試してみたいと思います。

【独特の甘い味付けは賛否が分かれそう】

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では実食と参りましょう。揚げたスペアリブはご飯とは別に袋に入れてくれました。

おかずは、キャベツの炒め物、切り干し大根の菜脯、豆腐とセロリと人参の和え物、春雨、コーン。味付けはいたって普通ですが、品数がよくあるお弁当屋さんの3品より多いのはちょっと嬉しいです。

ちょっと残念だったのはご飯を食べようと箸を差し込んだ時に、すぐ容器の底についてしまい、

「少なっ!!!」

と思ったこと。人によっては物足りなく感じるかもしれません。

そして本命のスペアリブですが、

「え?ハチミツに漬けたりした?」

とも思える独特の強い甘みと風味が漂いました。ほかのお店ではあまり食べたことがない味で非常に個性的。好き嫌いが分かれる味かもしれないなぁと思いました。ただ、この味にハマったら通いつめたくなる気も。僕個人では、家から近かったら普通にリピートできる。けど、わざわざ電車に乗ったり、スクーターに乗って少し離れたお店に行きたいかと言われたらちょっと、、、という感じ。でも、逆に日常使いができるお店なのかなと思いました。

 

極論を言ってしまうと、同じく排骨飯をメインとする老舗チェーン店「君悅排骨」のグレードアップ版といった印象。でもお店全体を通して伝わって来る効率の良さを求めた感じはこれまでの八方雲集で培ったシステムを活用しているのかなと思えました。

中国語がわからなかったり、そもそも台湾初心者の日本人観光客でも利用しやすそうな感じがしました。ただ、この急速な店舗の拡大は、エッグタルトや鮮芋仙の仙草,清玉の翡翠檸檬のように、ブームとなった後、急速に衰退していったお店を連想させるフラグでもあります。

どれだけ市民に愛される味に成長できるのか、今後の発展に注目です。

 

梁社漢排骨ウェブサイト:https://www.buygood.com.tw

【台湾ドラマ】2008年の「ハートに命中!100%」を今になって見た感想

介風見聞録にお越しいただき、有り難うございます。介(すけ)です。

実は今住んでいる部屋にはテレビがありません。でも、加入していますよ、Netflix。友人に誘われグループで加入していて、年間で1200元です。で、少し前に「命中注定我愛你」(ハートに命中!100%)という台湾ドラマを見たので、その感想を書こうと思います。

【史上最高視聴率を叩き出したお化けドラマ】

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台視官網から拝借

まずはドラマの基本情報から。放送されたのは2008年。三立電視台のいわゆる「偶像劇」(アイドルドラマ)枠で放送されました。主演は陳喬恩(ジョー・チェン)と阮經天(イーサル・ルアン)。

あらすじをごくごく簡単に言うならば「冴えないOLで陳喬恩演じる陳欣怡が、大企業の社長である阮經天演じる紀存希とひょんなことから一夜限りの関係を持ってしまったら、子供ができちゃってさぁ大変。紀存希にはフィアンセがいてどうしよう。」というもの。

ウィキペディア情報によると、最高視聴率は13.64%で、平均視聴率でも10.91%。視聴率1桁が当たり前の台湾テレビ界では恐ろしいほどの高視聴率となり、台湾のドラマ史上最高を叩き出したドラマなんだそうですよ。

【現実離れした世界観で「あるある」だらけのストーリー】

ただ、正直いうと、全部見るのが非常に辛かったです。

というのも、当時からすれば新鮮味があった内容なのかもしれませんが、2020年の観点から見ると良くも悪くも「台湾ドラマあるある」ばかりが目立ち、退屈しがちだったからです。

僕が考える台湾ドラマあるあるはというと「基本的に玉の輿に乗るシンデレラストーリー」「転んだ拍子にキス」「敵対していた相手がものすごく簡単に味方になる」というものなのですが、命中注定我愛你は完全にそのセオリーに沿っていました。

twitterで「台湾ドラマあるある」でキーワード検索したところ「必ず誰かが養護施設出身」「誰か必ず御曹司か令嬢」「誰か必ず拉致されてボコられる」「どれだけ嫌な奴も最後には皆良い人になる」「ヒロインの相手役は大抵イケメンツンデレ御曹司」などなどと、まさにこのドラマのことを言っているのではと思えるツイートがざくざく。これ以外にも「どこかで見たことがある」という展開ばかりで、食傷気味になってしまいました。

ただ、台湾人の書いたブログを拝見すると、この定番のストーリー展開が視聴者にとってはわかりやすく、「天丼」的な面白さを与えていたのではないかと記していて、安定感があったという意味では十分に理解できます。

【とはいえ、やっぱり見逃せない個人的にぐっと来たポイント】

ストーリーの内容はさておき、個人的に興味深いなぁ、見どころだなぁと思った点も少なからずありました。

その一点目は、香港、上海ロケを行い、ドラマの海外輸出を意識していること。

調べてみると、ドラマを作った三立電視台は2000年代から海外市場の開拓を熱心に進めていたようで、最終的には15カ国・地域で放送されたそう。海外でのロケを通じて確実にその地域の視聴者にアピールしていることがわかります。

ちなみに、ドラマが放送された2008年は第1期馬英九政権が5月に発足した年であり、それまで通商、通航、通郵のいわゆる「三通」の制限が緩和され、12月には両岸を結ぶ直行便の運航が開始されるなど、中国との関係改善が大きく進展した年だったんですね。

中国での放送については、「できちゃった結婚」を扱ったり、露骨な性的描写があることでかなりの制限や再編集が加えられたようですが、無事に放送されています。

二点目は個人的に大好きな女優さんである林美秀と鍾欣凌がそれぞれ陳欣怡の母親役と姉役で出演しているということ。

この二人は台湾のドラマ・映画界で名脇役として有名で、普段ドラマや映画を見ない僕でも知っている女優さんです。台湾語を自在に操り、ドラマにコメディ要素を加えたほか、台湾の庶民である陳欣怡のイメージをさらに補強していました。

こういった台湾ドラマに登場する人物は劇中で洋風の生活を送るのがほとんどですが、台湾語を多用する家族が出てきたり、台湾人らしい生活や振る舞いが散見されたことは、台湾人にとっては非常に親近感が沸くものです。この点も非常に革新的だったのではないかなと思います。

三点目は阮經天のツンデレ振りが可愛いということ。

基本的に陳欣怡には冷たい態度をとり続ける紀存希ですが、次第に愛情が芽生え始め、非常に簡単な理由で態度をがらっと軟化させる場面がたびたび登場し、「阮經天、頑張ったんだろうなぁ」と思える吹っ切れた演技は見応えがありました。

四点目は陳欣怡が身ごもった赤ちゃんに緊急事態が起こるということ。

ネタバレになるのであまり深く説明はしませんが、事態の急変に純粋にびっくりしました。全てが結果オーライとなるはずの台湾ドラマで、ここの場面はかなりシリアスに転換し、まさにモニターに釘付けになる展開となった意外さが良かったです。

 

 ちなみに台湾人の友人(複数)に話を聞くと、異口同音に「そりゃその当時のドラマだから、ストーリーの面で日本や韓国のとは比較になんないよね。でも、リアルタイムで見てたよ」との答えが返ってきました。事実として多くの人から支持されていたようです。

また、海外でリメイクされることも多々あり、これまでにタイ、韓国、中国で放送されたほか、日本でも2020年春に「運命から始まる恋 -You are my Destiny-」のタイトルで放送されたばかりだったんですね。

近年台湾では「悪との距離」や「次の被害者」など、非常に優良なドラマが制作されていますが、過去にはこんなドラマも一斉を風靡していたんだということが分かる勉強になる作品でした。今後もう一度見る機会があるかと言われる微妙ですが、一度は見ておいてもいいのではないかなぁと思いました。

【ユニー航空】2006年の《台北→高雄》搭乗記&当時の台湾国内線事情を振り返ってみる

介風見聞録にお越しいただき、有り難うございます。介(すけ)です。

先日、ふと長いこと放置していたmixiにログインしたところ、2006年に台北から高雄までを飛行機で移動した時の写真が出てきました。自分で言うのもなんですが、今では見られない貴重な写真だと思うので、この場で紹介させてください。また、改めて2000年代の台湾国内線事情を振り返ってみたいと思います。

【台北から高雄までわずか50分】

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それは、一年間の交換留学も終わりにさしかかった2006年6月30日。高雄出身の友人が帰省するというので、別の台湾人の友人と3人で高雄に遊びに行くことになりました。ただ、当時は台湾高鉄開業前。当初は高速バスでの南下を考えていたのですが、友人の親御さんが「せっかく遊びに来るのなら、お金を出してあげるから飛行機に乗りなさい」とおっしゃってくださり、お言葉に甘えて飛行機での移動となりました。

搭乗したのは、エバー航空子会社の立榮(ユニー)航空B7831便。台北松山空港は今でこそ第1ターミナルが国際(両岸直行)線、第2ターミナルが国内線と棲み分けられていますが、当時は原則国内線しか就航しておらず、第1ターミナルでチェックイン。金曜日の夜とあって、ターミナルはとても混雑していました。

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機材はMD90型機。通路が1本しかないナローボディで、2+3で座席が並んでいました。で、この機材の特徴は、エンジンが主翼ではなく、機体の後部についているという点。出発時刻間際にチェックインしたので、窓のない最後部の座席にアサインされ、グランドスタッフさんに「窓のない座席ですが大丈夫ですか?」とわざわざ言われたのを今でも覚えています。

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台北松山空港から高雄小港空港までの直線距離は300キロ。飛行時間はわずか50分。それでも途中ドリンクサービスがあり、300ml紙パックのジュースが振舞われました。記憶では黑松の「葡萄c」。ほかの味があったかどうかは覚えていません。

飲み終わったらすぐに着陸。これもMD型機の特徴なのですが、お尻の部分にタラップがついていて、そこから降機して非常に興奮したような気がします。

2007年に開通した台湾高鉄に利用客を奪われ、現在では完全に廃止されてしまった台北−高雄間の国内線。その貴重な路線に乗っていたというのは、乗り物好きとしては非常にラッキーだったなぁと思うのでした。

【飛行機大国だった台湾】

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今では考えられないことですが、かつては台湾国内を旅行する時、速さを選ぶなら移動手段は飛行機一択でした。台北松山空港の出発ロビーにあった電光掲示板を見ると、高雄だけでなく、台南、嘉義、そしてまさかの台中の文字が見えます。また、花蓮や台東を結ぶ路線も現在よりも多くの便が飛んでいたようです。あと、ここには写っていませんが、屏東、恒春への便もあったんですね。

台北−高雄間を例にとってみると、台鉄や高速バスで移動した場合、所要時間は約5時間。高速バスはさらに渋滞に巻き込まれる可能性があり、高鉄開通前の連休に高速バスを利用したら12時間かかったという友人もいます。また、東部方面でも当時は車体傾斜装置をつけた台鉄のタロコ号やプユマ号も走っていないばかりか、台東−花蓮間はそもそも単線非電化。雪山トンネルを走る蔣渭水高速道路(国道5号)も開通前。そう考えると、飛行機の利用は至極当然の選択だったのかもしれません。

ちなみに、交通部民航局の2006年の統計によると、台北−高雄間の年間利用客数は256万人。華視新聞の報道によればピークとされる1996〜97年には1日100便以上が飛び交い、なんと年間600万人前後が利用していたといいます。

そんな状況を一気に変えたのが高鉄の開業。台北−高雄間の航空運賃は2100元だったのに対し、高鉄運賃は1340元。高鉄の所要時間は最速1時間39分と、少し時間がかかってしまうものの、煩雑な手続きや保安検査などが要らず、簡単かつ大量に乗車できる鉄道の威力は凄まじく、民視新聞によるとあれだけ多くの人が乗っていた台北ー高雄間の飛行機利用客は2011年にはわずか2万5000人に減少。2012年に最後まで運航を続けたマンダリン航空便の搭乗率はわずか3割だったそう。飛行機と高鉄の時間差がさらに縮まる台北−台中、嘉義、台南などは航空会社はどんな手段を繰り出しても太刀打ちできなかったのは明白です。

東海道新幹線の開業で羽田−名古屋間の航空便が廃止に追い込まれたことは有名ですが、台湾でも高速鉄道の開業で同様のことが起きていたのは興味深いことです。高速鉄道の凄さをまざまざと見せつけられました。時代が大きく変化する場に居合わせていたんだなぁとしみじみせざるを得ません。

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高雄空港でたまたま撮影したマンダリン航空フォッカー100型機

今回たまたまmixiを開いて見つかった写真。明るさが足りなかったり、構図がおかしったりと、見るに耐えないものばかりですが、すっかり忘れていた記憶が鮮やかに蘇ってきました。記録を残すことってとても大切ですね。今はスマホで手軽に写真や動画が撮れる時代。些細なことでも記録することを心がけたいものです。

そして、ドル箱路線だった台北ー高雄線があっけなく廃止されたことで思い出したのは、以前、遠東(ファーイースタン)航空が運航していたMD82/83型機にいつか乗ろう、いつか乗ろうと思って遅々として乗らずにいたら、ファーイースタン航空自体がなくなってしまい悔しい思いをしたこと。

今あることが今後もあり続けることって難しいんですよね。やりたい事があるなら、できるだけ早く実現できるように努力するべきだなぁと痛感しました。

【點水樓】カニと季節の野菜がたくさんの秋限定メニューが出ました

介風見聞録にお越しいただき、有り難うございます。介(すけ)です。

江南料理や小籠包などで知られるレストラン「点水楼」広報の方のお招きを受け、忠孝復興駅からすぐの復興SOGO11階にある復興店で秋限定メニューを頂いてきました。その美味しさをご紹介します。

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【江南料理とは……】

東京にも支店を持つ点水楼。ここで提供される料理は中国料理の中の「江南料理」と呼ばれるものです。あまり聞きなれない料理名ですが、簡単に言うと、長江下流域の南側一帯である、蘇州、上海、杭州などで食べられる料理のことです。小籠包は上海料理がルーツになっているのは皆さんもご存知かと思います。この上海料理は江南料理をさらに細分化した際の一派と考えていいでしょう。

ちなみに、今回訪れた復興店は、SOGO復興店の中にありMRT忠孝復興駅直結。悪天候でも便利なのが便利です。また、天井がとても高く、開放感あふれる空間になっているのも快適。そして窓側の席であれば、台北市北部の眺望も楽しめます。確実に窓側の席に座りたいという方は予約時に希望してくださいね。

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【カニや季節の野菜が食べられます】

季節限定のメニューは2人前から10人前まで。価格は2,080〜22,800元(別途10%のサービス料がかかります。)今回は6人前の「花雕膏蟹六人合餐」(6,380元)をオーダーしました。今回のメニューの特徴は、カニと台湾の季節の野菜が楽しめること。秋の味覚をしっかりと味わえるのがいいですね。

【紫蘇梅桂花芋頭地瓜】

まずは前菜。梅紫蘇とキンモクセイで色付け、風味付けされたサツマイモです。紅芋かと思いましたがサツマイモなんです。しっかりと紫に染まっています。食べてみると、しっとりとしていてしっかり甘く、そして香ばしい。てっきり食後のデザートかと思ったほどですが、広報さん曰く「サツマイモはデザート扱いじゃないのよ」とのこと。あくまでも前菜なんだそうです。

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【胡麻拌茄肉】

皮をむいたナスを湯がいて冷ました後、ゴマドレッシングをかけた一品。みずみずしくフルーティーで、やはり何かの果物を食べているような優しい味。繊維質のある舌触りもするのですが、実際に噛んでみるとすぐとろけてしまいました。ゴマドレッシングの香ばしさもグッド。

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【蟹皇小籠包】

点水楼の名物、小籠包。この今回のメニューではカニみそ小籠包が食べられます。カニみそ小籠包自体はどこのお店でもよくあるメニューですが、こちらはクリーミーでまろやか。口いっぱいに贅沢なカニの風味が広がりました。お好みで生姜を合わせて食べてもいいのですが、個人的にはそのまま、タレもつけずに頂くのが良かったです。

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【蔥油餅】

中国料理を代表する「粉もの」である葱油餅。フワフワでモチモチ食感がたまりません。また、表面を油で揚げるように焼いているのでカリカリなのも面白いです。葱の香りも香ばしく、ご飯や麺の代わりになります。

【蔥燒蝦仁】

小ぶりのエビと葱を炒めて甘しょっぱいあんかけをかけた一品。プリプリのエビはこれでもかというくらい大量に入っているほか、葱もシャキシャキで満足度高め。比較的薄味の葱油餅と一緒に食べるがいいかもしれません。

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【花雕蒸膏蟹】

ワタリガニの一種であるノコギリガザミで、その中でも中国語で「紅蟳」と呼ばれる品種と卵豆腐に紹興酒のあんかけをかけた豪華なカニ料理。非常に香ばしいだけでなく、紅蟳は濃厚なカニみそとカニの卵がたっぷりで食べ応えがありましたよ。

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【沙公(椒鹽)2,980元】

別途単品で頼んだメニューです。蒸しあげたノコギリガザミ(中国語では「沙公」)をさらに油に通し、塩胡椒をかけたシンプルなもの。そういえば、日本でカニを食べる時はボイルすることが多い気がしますが、こちらは蒸しているので、実がホロホロで、ほぐしやすいです。ちなみに、広報さんの情報では紅蟳はカニみそや卵が多く、沙公は実が多いのが特徴なんだとか。料理によって使い分けているのが心憎い配慮です。

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【墨魚芋頭燒肉】

タロ芋と豚肉の角煮のイカスミ風味。イカスミというと自己主張が強くて、ほかの食材の味を覆い隠してしまいそうな勝手なイメージを抱いていたのですが、こちらは先にタロ芋と豚肉の美味しさがしっかり残り、後からイカスミの香りが漂いました。イカスミも生臭さなどはなく、逆に豚肉の油っぽさを絶妙に中和してくれ、さっぱりとさせている印象を受けました。初めて食べる味でしたが、イカスミのポテンシャルを感じる美味しさでしたよ。

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【酥炸翼豆】

翼豆というのは沖縄や小笠原でも栽培される「シカクマメ」という野菜。台湾では東部に暮らす原住民が食べる野草の一種で、一般的な食材ではなかったようなのですが、最近になり安定して仕入れることができるようになったので天ぷらとして提供しているそう。少しだけ苦味がありますが、肉厚でしっかりとした歯ごたえが楽しく、もりもり食べられました。

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【砂鍋醃篤鮮】

ベーコン、タケノコ、チンゲン菜などが入った醃篤鮮は、江南を代表する郷土料理のひとつ。乳白色の豚骨スープは濃厚ながらも油っぽさや独特の臭みがなく非常にすっきり。ベーコンやタケノコは厚切りでボリューム満点で、スタミナがつきそうな一品でした。

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【金沙茭白筍 675元】

新北市北部の三芝産マコモにアヒルの卵の塩漬けを絡めて炒めた金沙茭白筍も別途単品オーダー。台湾で生産されるマコモの8割は中部の埔里で栽培されているのですが、こちらでは三芝産のをあえて使用。三芝の水質がよく、埔里産と旬の時期が違っていることからだそう。大量の油で炒めているので、コリコリ感があり、程よい塩加減が食欲をかき立ててくれました。

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【酥炸花蓮壽豐鄉黑糯米年糕】

黒もち米を使ったお餅をさらに揚げたデザートです。こしあんのような色合いと甘さでありながら、外皮のサクサク感とモチモチ食感がベストマッチ!見るだけでわかるカロリーの高さが玉に瑕ですが、この美味しさは食べなきゃ損!お持ち帰りせず、熱々のまま頂いてください。

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【杏仁豆腐 180元】

日本人が大好きな杏仁豆腐。といっても、寒天が入ったゼリーのようなプルプルなものではなく、パンナコッタのような豆腐のようなしっとり系の本物の杏仁豆腐。添加物も入れておらず、シェフのこだわりを感じます。ほのかな優しい舌触りもさることながら、アーモンドの香りもほのかに漂い、お腹がいっぱいでも別腹に消えていく魅惑の美味しさを感じましたよ。

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 相変わらず美味しい点水楼の料理の数々。秋メニューは食材が入手できなくなったら終了ということで興味のある方はぜひともお早めにどうぞ!

また、10月30日までは中国近代文学作家・張愛玲の数奇な運命をイメージした10人前の限定セットメニューも提供していますので、合わせてお問い合わせください。

 

點水樓 復興店

台北市大安區忠孝東路三段300號11樓

(02)8772-5089

11:00〜22:00(L.O.21:00)

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【台北霞海城隍廟】中秋節に縁結びの月下老人を参拝してみた

介風見聞録にお越しいただき、有り難うございます。介(すけ)です。

6月のことになるのですが、行天宮近くにある占いの館を取材した時、占い師さんに恋愛運が絶望的だということを伝えると、「旧歴の8月15日の午前中に月下老人をお参りするといい」とのアドバイスをいただき、10月1日に友人を誘って迪化街にある台北霞海城隍廟をお参りしてきました。

ちなみに、台湾に住んで15年、何度もこの廟の前を通ったことがありますが、しっかりと参拝したのは今回が初。その模様を記録したいと思います。

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【中秋節は月下老人の誕生日だった】

そうなんです。初めはなぜこの日を指定されたのかよくわからなかったのですが、後になって中秋節は月下老人の誕生日だったことを知りました。

午前10時30分ごろに迪化街に到着すると、黒山の人だかり。ちょうど直前に中山駅前の新光三越南西店の前を通りかかった時、週年慶(バーゲン)の初日で多くの人が集まっていて、それと同じような人の多さでした。いつもはない大きなテントも張り出され、廟側も多くの参拝客が来るのをしっかりと待ち構えていました。

縁結びの神様ということで、やはり女性ばかりなのかなと思いましたが、男性も結構いて7:3といったところ。よくわからない行列がたくさんでき、諦めようという気持ちも芽生えかけたものの、友人がなんとなく状況を把握してくれて誘導してくれました。

【「金紙と線香」「赤い糸」をそれぞれ購入して「お参り」】

で、大まかな流れはというと、まず「金紙と線香」を購入して、点火台で線香を焚きます。その上で「赤い糸」を購入して「お参り」します。

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「金紙と線香」と「赤い糸」が同時購入できればいいのですが、販売している場所は別で、それぞれ並ばなければなりません。線香に火をつけるのも同様。並ぶ列が多いので動線が少し混乱してしまってるのだと思います。とはいうものの、廟側のスタッフさんに聞けば、比較的親切に教えてくれるので、きちんと聞ければ迷うことはなさそうです。

で、目的は月下老人をお参りすることなのですが、一応合祀されている天公、城隍爺、義勇公、城隍夫人、菩薩にもご挨拶をします。まぁ、ぶっちゃけここが都市の守り神である城隍爺を祀る廟なので当然といえば当然なのですが。

そして、お参りが終わったら、最後に特設ステージに祀られている月下老人をお参りします。名前、住所、年齢、そして具体的な相手がいればその人の名前を、もしいなければ理想のタイプを心の中で念じます。具体的であればあるほど良いそうです。

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そして、最後に香炉に線香を投げ入れ、赤い糸を持って煙の中を三回円を描くようにくぐらせればお参りは完了。混雑していたのでトータルで一時間半かかったでしょうか。熱心にお参りするならそれ以上時間がかかりそうです。

最後に漢方薬で煎じたお茶をいただきました。友人曰く、良い運気が溜まっているお茶なので、ふーふーしないで熱いまま飲むべきだとのこと。息をかけると運気が飛んで行ってしまうからだそう。舌と喉を痛めつけながら飲む熱いお茶はドMな人であれば苦に感じられないはずです(←

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これで本当にご縁があるのかどうかは未知数ですが、信じるものは救われるという言葉を信じて幸せが訪れるのを待ちたいと思います。

しかしながら、お参りしたことをウキウキしながら友人らに伝えると複数の地元民から「地元の人はわざわざ城隍廟に月下老人をお参りにこないよ」と冷酷な言葉を投げかけられる始末……。絶対に幸せを掴んでやるんだと誓いました。

皆さんにも素敵なご縁がありますように。